引越し業者は保険に入っていても補償を渋ることがあるのはなぜでしょうか?

支払を渋る引越し業者は保険に入っているので、万が一輸送中に家具などを破損してしまった場合でも、補償をしてくれるから安心だという話をよく耳にします。

確かにこれはウソではありませんが、話はそう単純ではないようです。

実際に家具などを破損させてしまった場合に、すんなりと補償に応じてくれないような引越し業者もいるのです。

もちろん、保険は義務ですからモグリの業者でなければ必ず入っているはずです。

それなのに、なぜ簡単に補償に応じてくれないことがあるのでしょうか?

引越し業者が加入している保険とは?

引越し業者は、荷物を運搬中や保管中に破損させてしまったときのために、保険に加入をしていますが、この保険には2つの種類があります。

1つは「運送業者貨物賠償責任保険」で、もう1つが「引越し荷物運送保険」です。

これらの2つの保険にはどのような違いがあるのでしょうか?

運送業者が必ず加入している運送業者貨物賠償責任保険

運送業者貨物賠償責任保険は、これは正式に登録をしている運送業者であれば必ず入っている保険になります。

つまり、この保険にすら入っていない引越し業者は「モグリ」ということになりますので、基本的に仕事を依頼してはいけません。

万が一荷物を壊されたときに、泣き寝入りになってしまう可能性があります。

基本的にはどこの引越し業者も加入しているはずの運送業者貨物賠償責任保険ですが、補償金額は最高で1,000万円となっています。

よほどお金持ちの人の引っ越しでない限り、家財の補償金額が1,000万円を超えることはないと思われますので、十分な補償額であると考えられます。

ちなみに、運送業者貨物賠償責任保険の保険料は、引越し業者が負担することになっていますので、依頼者が負担をする必要はありません。

依頼者が保険料を負担する引越し荷物運送保険

荷物運送保険引越し荷物運送保険は、運送業者貨物賠償責任保険とは異なり、依頼者側が保険料の負担をするタイプの保険になります。

この保険に加入をすると、引っ越しの見積もりのなかに「保険代○○○円」などいう項目が入ることになります。

負担といってもそれほど高いものではなく、1,000円~3,000円程度です。

こちらの保険は、運送業者貨物賠償責任保険と違って法的なしばりはありませんから、加入してもしなくてもどちらでもいいことになります。

普通に考えれば、運送業者貨物賠償責任保険で1,000万円まで補償してくれるのであれば、それ以上の補償は必要ないといえるでしょう。

1,000万円では不安だという人が、自腹で引越し荷物運送保険に加入することで、さらに1,000万円上積みされて2,000万円ほどの補償を受けることが可能になります。

しかし、家財が1,000万円の保険で足りない人というのはどんな人でしょうか?

国宝級の壺をたくさん持っている人もいるかも知れませんが、残念ながら高価な美術品などは保険による補償の対象外となっています。

そもそも、一般の引越し業者に国宝級の壺を運ばせること自体が間違いです。

できれば保険は使いたくないというのが引越し業者の本音?

保険に入っているから、万が一引越し業者が荷物を破損してしまっても安心だと考える人は多いでしょう。

しかし、いざ破損された家具の補償を求めると、それを素直に認めてくれないことも少なくありません。

せっかく保険に加入しているのに、引越し業者はなぜ保険による補償を渋るのでしょうか?

理由は簡単です。

保険料が大幅にアップしてしまうからです。

車の保険なども同様ですが、保険によって補償を受けると、保険料が一気にアップしてしまいます。

そのため、軽微な物損事故の場合はあえて自動車保険を使わずに、自腹で修理してしまう人も少なくないのです。

保険を使って修理代を補償してもらっても、そのあとアップする保険料で最終的にはマイナスになってしまうからです。

引越し業者も基本的にはこれと同じ理由で、できれば保険は使いたくないというのが本音なのです。

従業員に自腹で補償させて訴訟沙汰になった引越し業者

訴状を出す信じられないかも知れませんが、引越し業者のマネージャーのなかには「保険は使ってはいけない」と教育されている人も少なくないようです。

しかし、使ってはいけないといっても、人間が手で荷物を運ぶ以上は、破損事故というのはある一定の確率で発生してしまうものです。

運搬中に荷物を破損させてしまったにもかかわらず、会社が保険を使わせてくれないとなると、現場の従業員はお客さんとの板挟みで大変な思いをすることになります。

仕方なく、自腹を切ってお客さんに修理代を支払ってしまう従業員もいるようです。

従業員に自腹で修理代を負担させていた会社が、従業員から訴訟を起こされたという事例も実際にあります。

こういった事実を知ってしまうと、仮に運搬中に荷物を壊されたとしても、依頼主としては現場の従業員さんに強くは言えなくなってしまいます。

このような現実がある限り、引越し業者は保険に加入しているから運搬中に物を壊されても安心、などとは単純にはいえないわけです。

「運搬中に壊れたものではなく、最初から壊れていた」と、自分たちの非を頑として認めない悪質な引越し業者もいますが、要するに保険を使いたくないからそういう主張をするわけです。

引越し業者の営業マンは「保険に入っているから大丈夫です!」などと自信満々にいいますが、それを鵜呑みにしてはいけないということになります。

保険に加入していても補償の対象外となるもの

仮に引越し業者が保険を使って補償をしてくれることに同意をしたとしても、そもそも家財のなかには保険の対象外となってしまうものも少なくありません。

たとえば、現金や有価証券、貴金属、宝石といったものです。

こういったものは、保険の適用がどうのこうのという以前に、自分自身で責任を持って運ぶのが基本です。

引越し業者のスタッフによって、盗難にあうという可能性も十分にあるからです。

また、楽器、パソコンのデータ、美術品及び骨董品といったものも、引越し業者の保険では補償されません。

美術品や骨董品に関しては、専門の運送会社がありますので、そういったところに依頼をする必要があります。

そういった業者であれば、保険も高額商品に対応したものに加入をしています。

3月は特に荷物の破損が増えるので要注意です

忙しい3月引越し業者は荷物を運ぶプロではありますが、どうしても荷物を破損させてしまうことはあります。

特に、1年で一番忙しい3月には、経験の浅いアルバイトが大量に採用されることになりますので、荷物を破損してしまう可能性が高くなります。

特に、3月の最後の土日と4月の最初の土日は、可能であれば引っ越しの計画を立てることはやめた方がいいでしょう。

この時期は、まさに1年で一番のピークのときであり、1つのグループが1日で4~5件の引っ越しを行うのが普通になります。

そのため、最後の方のお客さんになると、引っ越しの開始が夜の9時頃になってしまうこともあるのです。

仕事に慣れないアルバイトたちが、夜の9時頃から疲れ切った状態で作業を開始する状況を想像してみてください。

荷物を破損されない方がむしろ不思議です。

おまけに、この時期には見積もり金額も閑散期の3倍ほどは覚悟しておかなくてはなりません。

高いお金を払って、なおかつフラフラの疲れ切った慣れないアルバイトに荷物を運んでもらうというのは、どう考えても割に合わないはずです。

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