都市ガスとプロパンガス いいのはどっち?

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新生活を始める際、電力会社や水道局への連絡と同様に、ガスの新規契約・契約変更手続きも行うと思います。

ガスには主に都市ガスとプロパンガスの2種類がありますが、契約時にどちらを選択するかにより、使い勝手やかかる費用が変わることを知っていましたか?

世帯形態、用途、住宅周りの景観のこだわりに合わせ、基本性能や料金計算方法の違いを正しく理解したうえで選ぶ必要があります。

この記事では、都市ガスとプロパンガスの原料、火力供給エリアそれに伴う初期費用・月々の料金を比較します。

使用目的・重視するポイント別におすすめなガスもご紹介していきますので、新生活を送る上で参考にしてみてください。

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都市ガスとプロパンガスの違い

それでは、都市ガスとプロパンガスの違いについて説明していきます。

都市ガス プロパンガス
原料 液化天然ガス(LNG) 液化石油ガス(LPG)
供給可能エリア 導管が通っている地域のみ 全国どこでも
料金設定方法の違い 総括原価方式 自由料金制

2つのガスは、「原料」「供給可能エリア」「料金設定方法」において違います。

それぞれの項目で2つのガスの特徴を具体的にご紹介しているので、ガス選びの際に参考にしてみてください。

原料

原料の違いとして、都市ガスはメタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)を使用し、一方でプロパンガスはプロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG)を原料としています。

液化天然ガス(LNG) 液化石油ガス(LPG)
原料は無色透明・無臭
空気より軽い 空気より重い
約12,000kcal/㎥の熱量 約24,000kcal/㎥の熱量

どちらも無色透明で無臭ですが、家庭で使用する目的で供給される際は、ガス漏れを検知できるように匂いが付いています。

性質において違う点は、体積当たりの発熱量重さです。体積当たりの発熱量においては、液化天然ガスと比較して、液化石油ガスは2もの発熱量があります。

「それなら火力に違いが出て、プロパンガスの方が湯沸かしも調理も早くできるんじゃないの…?」

そう思われるかもしれませんが、発熱量の違いは実はあまり使用面では気になりません。

ガスの種類に関わらず、それぞれのガス機器で出すことができる火力は一定だからです。

同じ火力になる仕組みは、プロハンガスの原料と比べて都市ガスの原料をより多く供給する事で、発熱量の差をカバーしているのです。

言い換えると、同じ器具を一定時間使用する際、プロパンガスの場合ガスの消費量が都市ガスの半分で済むということです。

重さは、都市ガスに使われる液化天然ガスでは空気より軽く、プロパンガスに使われる液化石油ガスは空気よりも重いです。

使用面においては特に気にすることがないように感じます。

しかし、ガスの種類によってガス漏れを検知する警報機の設置位置を変更する必要があります。

ガス漏れが発生した際、空気よりも軽い液化天然ガスは天井の方へ、空気より重い液化石油ガスは床の方へ集まります。

ガスの種類によって警報機の位置を変えることでより早くガス漏れを検知できます。使用するガスと、新居の警報機の位置を確認しておきましょう。

また、ガス漏れの際は都市ガスの場合低い姿勢で避難し、プロパンガスの場合は立って避難することを覚えておきましょう。

供給可能エリア

続いて、都市ガスとプロパンガスの供給可能エリアの違いについて説明していきます。

まず、都市ガスの場合は地下のガスの導管から供給します。そのため、ガス管が張り巡らされている地域のみで使用が可能になります。

都市ガスの導管は、主に需要が高い都市部に集中的に通っている傾向があり、反対に郊外の地域にはあまり多くありません。

また、ガスの導管は導入費用がかなり高いため、地域によっては都市ガスの利用は期待出来ない場合があります。

一方、プロパンガスの場合は、ガスボンベで供給する仕組みになっています。

専用の設置スペースやガス会社の対応可能エリアであれば全国どこでも設置ができます。

郊外や地方の都市ガス非対応エリアでは、一般的にプロパンガスが使用されています。都市ガスと比較して、設備や設置工事等行わずに簡易的に設置ができる特徴があります。

料金設定方法

ガス代は通常、基本料金ガスの使用量に応じた従量料金の合計から算出され、こちらは都市ガスもプロパンガスも同じです。しかし、それぞれのガスで料金設定方法が変化します。

都市ガスは、「総括原価方式」という料金設定が行われています。
総括原価方式とは、ガスの調達・輸送・配送全般にかかる原価を算出後、決まった幅で事業者が利益率を加算することで基本料金を決定する方式です。

原価に対して、加算できる利益率の上限が決まっているため、都市ガスにおいては事業者によって価格帯に大幅な差はありません。

それに対して、プロパンガス「自由料金制」という方式を取っていて、事業者が独自の基準で基本料金を設定します。ガスの調達・輸送・配送全般にかかる原価に加えて、他業者との価格競争にも価格が左右されます。

プロパンガスは、契約を検討する際に直接値段交渉できることが多いです。ガス代を安くするためにも、すぐに契約せずに業者ごとの料金やサービスを比較してみることをお勧めします。

以下のサイトから、物件の情報や居住地区など簡単な情報を入力するだけで複数社のプロパンガスの料金を比較できます。都市ガスと迷っている際にも、ぜひ利用してみてください。▼▼

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【項目別】ガス2種類の性能・メリット比較

続いて、上記2種類のガスのメリットを「初期費用」「料金」「復旧のはやさ」「供給可能エリア」の4項目に分けて説明していきます。

都市ガスにも、プロパンガスにも使用する上で便利な点、不都合な点がいくつかあります。以前使用していたガスの種類を引っ越し先でも使用する予定でも、一度目を通しておくとよいでしょう。

都市ガス プロパンガス
初期費用 10~15万円程度を契約時請求 15~20万円程度を毎月の代金に上乗せ
料金 安い 高い
復旧の早さ 遅い 早い
供給可能エリア ガス導管引き込み可能地域 全国

初期費用

結論から言えば、都市ガスもプロパンガスも初期費用は発生します。ただ、ガスの種類により契約時に初期費用の支払い請求がない場合もあります。

都市ガスでは、新居の場合利用する上でまずガスメーター建物内へのガス配管が必要です。ガスメーターは、ガスの使用量を計測するために設置が必要です。

都市ガスの引き込み工事においては、本管設置費用・引き込み管工事費用・敷地内の配管工事費用がそれぞれかかります。大体の相場は10~15万円程度となっています。

都市ガスの場合は契約成立時に初期費用を請求される場合が多いです。

それに対して、プロパンガスはガス配管工事費用に加えてタンク設置費用がかかり、タンク設置費用は、設置場所タンク容量に左右されます。

土地所有地に設置する場合は、通常5~8万円程度で、工事用地や各家に設置する場合は8~12万円程度です。タンク容量は、20㎏毎に値段が3~4万円程度上がると考えておくと良いでしょう。

ガス配管工事費用と合わせると、初期費用の相場は大体15~20万円程度です。

プロパンガスの場合は契約時に初期費用を支払うのではなく、毎月のガス代に上乗せといった形で請求されることが多いです。これを「無償貸与契約」と呼びます。

料金

都市ガスとプロパンガスにおいて、やはり気になる違いは月ごとのガス代です。以下に挙げていく表を参考にすると、月ごとの支払い金額には差があることが分かります。

まずは都市ガスの1か月あたりの料金目安を、使用料ごとに確認していきましょう。

1か月のガス使用量 基本料金(円/件・月) 単位料金(円・㎥)
0㎥から20㎥まで 759.00 145.31
20㎥をこえ80㎥まで 1,056.00 130.46
80㎥をこえ200㎥まで 1,232.00 128.26
200㎥をこえ500㎥まで 1,892.00 124.96
500㎥をこえ800㎥まで 6,292.00 116.16
800㎥をこえる場合 12,452.00 108.46

参照:tokyo-gas.co.jp

上の表は、東京ガスの月ごとの使用量に応じた基本料金と単位料金です。都市ガスの場合は単位料金が使用料ごとに変化することが特徴の1つです。

ガス代は基本料金とガスの使用量に応じた従量料金の合計から算出されるので、「単位料金(+税)×使用料〔㎥〕(+税)」という式で算出できます。

続いて、プロパンガスの1か月あたりの料金目安も見ていきましょう。

1か月あたりの使用量 基本料金 ガス代(基本料金+従量料金)
5㎥使用 1,701


4,804
10㎥使用 7,720
20㎥使用 13,831
50㎥使用 31,368

参照:oil-info.ieej.or.jp

上の表は2023年10月地点でのプロパンガス料金の平均額です。プロパンガスの場合、基本料金は使用量に関わらず一定の額になります。

ここで、1か月の都市ガスとプロパンガスの価格を比較してみましょう。例えば、1か月にガスを5㎥使用したとして、まずは表をもとに料金を計算すると、都市ガスの料金は1,830円で、プロパンガスの料金は4,804円です。しかしこれはまだ正確な比較とは言えません。

ここで忘れてはいけないのが、都市ガスとプロパンガスの発熱量の違いです。都市ガスと比較してプロパンガスの発熱量は2倍高いため、湯沸かしや調理にかかる時間が短くなります。

火力の違いを考慮するため、先程計算した都市ガスの料金に2倍をかけると、1か月にガスを5㎥使用する場合の都市ガスの料金は3,660円です。

いずれにせよ、4,804円のプロパンガスと比較すると、都市ガスの方が毎月のガス代は安いということが言えますね。

復旧のはやさ

災害時などは、津波による浸水、ガスの導管や支柱の損傷・倒壊することで一時的にガスが使用できなくなることがあります。そういった場合はガスの復旧に一定の時間がかかりますが、ガスの種類によって復旧の早さ・遅さが変わります。

都市ガスの場合、復旧までの手順がかなり多く時間がかかる傾向があります。

~都市ガスの復旧手順~
1.損傷箇所の特定と仮設パイプ設置
2.ガス漏れの検知と安全確認
3.計器室・施設の仮設復旧
4. パイプラインの仮設拡充
5.修復工事の開始
6. ガス供給再開

ガス計器室や圧縮機場など、施設の安全確保と広範囲の仮設工事が長引くため、大規模な被害の場合全面的な復旧には1~2か月程度かかることが多いです。

2011年3月に起きた東日本大震災では、被災日から54日間を都市ガスの復旧に要しています。

プロパンガスの場合は、導管を必要とせずにボンベの交換のみですので、比較的短時間で復旧が可能です。

~プロパンガスの復旧手順~
1.災害発生後、安全点検兼ボンベの損傷調査
2.仮設ボンベによる一時供給開始
3.ボンベ交換工事
4.個別に異常がないか確認・修繕

仮設ボンベによる一時的なガス供給は、災害が起きてから24~48時間程度で完了します。そのため、すぐにガスが必要な機会があっても、ある程度は対応することができます。

完全に従来の方法で供給が再開されるまで、長くても1週間~2週間程度にとどまることが多いです。

東日本大震災では、都市ガスに比べ12日間早く全面復旧が行われました。

供給可能エリア

前述の通り、都市ガスとプロパンガスには、供給可能エリアが限られているかどうかの違いがあります。

都市ガスが利用できるエリアについては、「一般社団法人 日本ガス協会」のホームページからガス事業者検索を行うことで確認できます。

参照:gas.or.jp

参照:gas.or.jp

対応していない地域でも都市ガスが使いたい場合は、上記のサイトから自分の居住エリアに最も近い事業者を探し、ガスが使用できるか問い合わせてみましょう。

場合によっては個人負担による管線敷設が可能な場合もあります。

プロパンガスの場合は、ガスボンベの設置スペースの確保ができれば全国どこでも設置ができるため、設置の際の基盤設備の工事にかかる費用が必要なく、導入までにあまり時間がかからないことも特徴です。

結局どっち?暮らしに最適なガス選び

ここまで都市ガスとプロパンガスの原料の違いや性能の比較を見てきましたが、結局両方とも短所はあります。そのため、どちらのガスを選ぶべきかわからない、、という方もいると思います。決める際は、ぜひ以下の項目を参考にしてみてください。

都市ガスが最適な場合
・引っ越しまでに1‐2か月程度の日程の余裕がある
・以前住んでいた地域が都市ガス
(新居のエリアによっては都市ガス非対応の場合もあり、要確認)
・都市エリアに引っ越す
・なるべく電気代を節約したい
・入浴の頻度が高い(値段が安くなる)
プロパンガスが最適な場合
・以前住んでいた地域がプロパンガス
(都市ガスに切り替える場合は基盤設備工事の時間費用違約金請求を考慮に入れる必要がある)
・郊外エリアに引っ越す
・調理時間をなるべく短縮したい、強い火力が必要な料理をすることが多い
・津波や河川の氾濫の被害を受けやすい海沿いの地域に転居予定

都市ガスは1日最大使用量まで平日料金と変わらないため、より使用頻度が高い場合にはコスト面でのメリットが大きいです。

また、以前の居住地域で使用していたガスが都市ガスで転出届を提出して引き続き使用する場合は、ガスの導管が地下に通っていない地域に転居予定ではないか確認しましょう。

都市ガス非対応地域の場合は、ガスの導管を延長する工事を契約会社に依頼するほか、現在のガス会社との契約を解約してプロパンガスを設置する必要がある可能性があります。

新居のガス契約時期に合わせ、基盤設備費が変動する場合もあります。ガス会社ごとに契約内容や設備費等をこまめに確認しておくことがおすすめです。

ガス選びの注意点やポイント

最後にガス選びや手続きの際に意識しておくべき重要なポイントをまとめています。ガス選びに迷ったら、こちらの項目も参考にしてみてください。

都市ガスの場合:新規契約時に基盤設備工事費が発生

プロパンガスの場合:ボンベそのものの購入費が必要だが、基盤工事費はかからない

〇以前使用していたガスの種類と同じものを契約した場合:基本的に旧契約解除・新契約手続きが必要であるが、基盤設備費が必要な都市ガスは免除される

都市ガス契約地域の場合:同一ガス会社ならば転居申告で引っ越し手続きが可能。新規契約と同じ基盤設備費は不要なことが多い

プロパンガス契約地域の場合:同一ガス会社ならば転居申告で引っ越し手続きが可能

〇以前使用していたガスの種類と違うものを契約した場合:旧契約解除・新契約手続きや、基盤 設備・設置場所の確認等のほか、ガス対応機器の変更を検討する必要がある*

*ガスの種類によって原料の性質と供給圧力が違うため、対応しているコンロ・給湯器・床暖房・ガスレンジ・ボイラーなどが変わる

ご自身の生活スタイルや予算、引っ越し先に合ったガスタイプを選択し、快適な暮らしを目指していきましょう!

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