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引越しの見積りに本音と建て前があると聞いたら、驚く人もいることでしょう。
引越し業者の見積もりを見ると、もっともらしい内訳が書かれていたりしますが、実は、もっとアバウトな基準で料金が決められていたりします。
つまり、お客様に提出する見積書に書かれているのは建て前であり、本音の料金の部分は別の基準で決められたりすることもあるのです。
引越し業者は、「トンイチ」「トンニ」「台売り」といった業界用語を使うことがありますが、こうした用語の中に、引越し業者の本音と建前が隠されていたりします。
はたして、引越し業者の見積もり金額に対する本音と建て前とは、どんなものなのでしょうか?
引越し業者同士で話す「トンイチ」「トンニ」の意味とは?
一般の人はほとんど耳にする機会はないと思いますが、引越し業者同士の会話のなかに「トンイチ」や「トンニ」「台売」などという言葉が出てきます。
引越し業界のことをまったく知らない人は、これらの「トンイチ」「トンニ」「台売」といった言葉で見積もり金額を決められているとは、まったく気がつかないでことでしょう。
まずは、「トンイチ」と「トンニ」の意味から説明していきましょう。
トラックのサイズごとに最低料金の目安を決める
「トンイチ」や「トンニ」は、引越し業者がお客さんと料金を決めるときに、これ以上は安くできない金額の目安として使われることの多い隠語です。
「トンイチ」や「トンニ」の「トン」というのは、トラックのサイズを表す1トンとか2トンのことで、「イチ」や「ニ」というのは、1万円及び2万円のことになります。
つまり「トンイチ」というと、1トンあたり1万円が最低料金ということになります。
2tトラックを使う引っ越しであれば2万円、3tトラックを使う場合であれば3万円という意味になります。
これが「トンニ」だと、2tトラックで4万円、3tトラックで6万円ということになります。
繁忙期か閑散期かで「トンイチ」か「トンニ」が決まります
それでは、この「トンイチ」と「トンニ」の違いはどこで判断するのかといいますと、単純に引越し業者が忙しい時期か暇な時期かで判断すると考えていいでしょう。
あまり仕事がなくて、トラックやスタッフの手が空いてしまうような時期には「トンイチ」が最低料金となり、3月から4月にかけての繁忙期になると「トンニ」が最低料金ということになります。
ちなみに、この「トンイチ」や「トンニ」が適用されるのは、引っ越し作業が半日程度で終わる場合を想定しており、遠距離でまるまる1日かかるような引っ越しの場合であれば、その2倍はかかることになります。
引越し業者が暇な時期で、なおかつ半日以内で作業を終えることのできる場合の引っ越し料金の目安は、「トンイチ」で計算することで、2tトラックなら2万円、3tトラックならば3万円が最低ラインになると覚えておくといいでしょう。
ただし、これらの目安はあくまでも荷物を運ぶだけの相場であり、荷造りなどのオプションは含まれていませんので注意が必要です。
トラック1台あたりの売上目標を表す「台売」
引越し業者は、トラック1台あたりの1日の売り上げ目標を決めていることがほとんどです。
これを引越し業者の専門用語で「台売」といいます。
「1台あたりの売上」を略して「台売」と呼んでいるのだと思います。
会社として、トラックの維持費や作業員の人件費、そして管理費や利益といったことを考えた場合、トラック1台あたりに稼いでもらいたい金額は、おのずと決まってくるわけです。
2tトラックの1日の売り上げ目標は10万円~20万円
引越し業者は、2tトラックを使う場合には、運転手を含めて2人のチームで行動するのが一般的です。
そして、その2tトラック1台と2名のスタッフで1チームと考えて「台売」が決められることになります。
この2tトラックと2名のスタッフが1組となったチームの場合、およそ10万円~20万円程度が「台売」となることが多いようです。
閑散期であれば10万円、繁忙期であれば20万円といったイメージになると思います。
2tトラック1台で10万円~20万円というと、ものすごく高いような印象を受けると思いますが、引越し業者というのは、1台のトラックで1日に何件もの引っ越しをするのが普通です。
市内などの近距離ばかりのときには、1日あたり4件~5件もの引っ越しを行うこともあります。
閑散期で、なおかつ市内などの近場の引っ越しばかりを1日4件行った場合には、1件あたりの料金は10万円÷4件=2万5千円ということになります。
1日3件しかできない日の場合には、3万円、3万5千円、3万5千円といった見積もりになるのかも知れません。
先ほどの「トンイチ」にくらべると高い感じがしますが、あくまでも「トンイチ」や「トンニ」は、引越し業者がこれ以上は下げられない最低料金であることを思い出して下さい。
「台売」の考え方で算出した見積もりの場合、たとえ近場であっても2万5千円~3万5千円くらいにはなると考えていいでしょう。
あとは、引越し業者との交渉次第ということになります。
あまりにも暇でトラックやスタッフが空いてしまっているということであれば「トンイチ」でやってくれるかも知れませんし、そこまで安くするメリットがないと考えれば「台売」を基準にした料金を主張してくるでしょう。
3tトラックで3人1組のチームだと1日あたり15万円~35万円
3tトラックを使う引っ越しの場合、荷物の量が多くなるために3人1組のチームで行動することが多くなります。
この場合の「台売」は、15万円~35万円程度になるようです。
つまり、閑散期であれば15万円ほどで、繁忙期は35万円ほどに跳ね上がるということです。
近場の引っ越しばかりで、1日に4件こなせる場合には、閑散期であれば1件あたり4万円弱というのが相場になります。
逆に、遠方への引っ越しで、3tトラックと3人のスタッフを1日チャーターする形になった場合は、閑散期でも15万円ほどはかかってしまうということになります。
繁忙期になると、「台売」が35万円ほどと2tトラックにくらべてアップ幅が大きくなりますが、これは引越し業者が所有するトラックの台数やスタッフの人数が関係しているかも知れません。
つまり、2tトラックにくらべて、引越し業者が所有する3tトラックの台数が少なく、3人のスタッフが必要であるにもかかわらず人手不足で確保が難しいなどの理由により、割高になってしまうのでしょう。
ちなみに、これらの「台売」の相場は大手の引越し業者の場合で、地元の中小の業者の場合にはもう少し安くなると考えてよさそうです。
引越し見積もりの内訳はあとか調整できる
「トンイチ」「トンニ」「台売」といった、引越し業者独自のアバウトな料金算定基準があるということがお分かりいただけたと思います。
しかし、実際に作成してもらった見積もりはそんなアバウトな感じではなく、しっかりと明細が書かれているのが一般的です。
「トラックの運賃や」「作業員の人件費」「荷造り用資材」「養生材」といった項目別に金額が入れられており、それらをトータルした額が見積もりの提示金額となっているはずです。
もちろん「トンイチ」や「台売」などといった言葉はどこにも見当たりません。
実は、1日に何件もの見積もりを作成しているプロの営業マンであれば、あらかじめ見積もりの提出額を決めておいて、それに合わせて内訳を調整するなどということは、朝飯前なのです。
お客様に値切られることを想定して「トンイチ」で最低ベースを考慮しつつ、「台売」の目標を達成できるような金額があらかじめ用意されており、それに合わせて内訳をもっともらしく作っていくわけです。
そういった意味では、引っ越し見積もりの内訳はあまり重要ではないといえますが、せめてトラックのサイズやダンボールの数などは、あとでトラブルにならないようにしっかりと確認をしておいた方がいいでしょう。