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引っ越し先の物件探しをしていると、募集広告などに「告知事項あり」と書かれていることがあります。
契約をする前に伝えておきたいことがある物件という意味なのですが、要するに「訳あり物件」のことと考えていいでしょう。
「訳あり物件」は「事故物件」あるいは「心理的瑕疵(かし)物件」などと呼ばれ、過去にその部屋で自殺や殺人などが起きた部屋のことをいいます。
そういった物件は、相場にくらべてあきらかに家賃が低いことが多いので、人によっては、あえてそういった物件を探している人もいるようです。
「そんなところに住めるの?」と普通の人は考えますが、世の中にはまったく気にならない人もいるようなのです。
それでは、告知事項ありの訳あり物件の家賃は、どれくらい安くなるのでしょうか?
首吊り自殺をした練馬区の1Kの家賃が5万1千円
東京都練馬区で、築11年の1Kマンションの家賃が5万1千円となっています。
この地域で同程度のマンションであれば7万円程度が相場となりますので、「告知事項あり」ということで2万円近く安い家賃になっているわけです。
確かに、家賃が2万円も安いというのは魅力を感じるところではありますが、問題は「告知事項」の内容です。
実は、この部屋で首つり自殺があったのです。
普通の人は、家賃が2万円安いくらいでは首吊り自殺のあった部屋はまず借りないと思います。
仮に相場の半額程度まで下げられたとしても、借りる勇気のある人はそう多くはないでしょう。
しかし、不動産業者が5万1千円という強気の家賃を提示しているところを見ると、そういったことを気にせずに、実際に借りる人がいるのかも知れません。
ぜんぜん安くない訳あり物件もあります
東京都中央区のある「告知事項あり」物件は、家賃が10万3千円となっています。
築年数は2年で、間取りは1Kとなっています。
中央区で築浅物件ではありますが、せいぜい11万円程度が相場だと思われますので、「告知事項あり」にしては、かなり強気の家賃設定となっています。
ちなみに訳ありの理由は、前の入居者が飛び降り自殺をしたというものです。
飛び降り自殺の場合、首吊り自殺のようにその部屋のなかで人が死ぬわけではありませんが、普通の人であればかなり抵抗感があるはずです。
数千円安いだけの家賃設定で、本当に借りる人がいるのかどうか疑問です。
「訳あり物件」というのは、私たちが思っているほど家賃は安くないようです。
バラバラ殺人事件が起こったマンションの賃料が7万7千円
こちらの事例は、同じフロアーで殺人事件が起こった訳ありマンションになります。
場所は東京都江東区で、築9年の1Kになります。
家賃は7万7千円となっていますので、同地区の同じ条件のマンション相場とくらべて、1万円ほど安いといえそうです。
殺人事件が起こったとはいえ、同じフロアーの別の部屋であれば、それほど気にならない人もいるのかも知れません。
しかし、この物件で起こった事件は、ただの殺人事件ではないのです。
女性を監禁したあげく発覚を恐れて殺害し、バラバラにしてトイレに流したという、身の毛もよだつような事件があったのです。
実際に事件があったその部屋ではないとはいっても、同じフロアーでそういった事件のあったマンションを、家賃が1万円程度安いからといって借りる人が本当にいるのでしょうか?
屋上から飛び降り自殺があっても家賃はわずか5000円安
こちらの事例は、東京都大田区の築21年の1Kマンションです。
家賃は7万7千円で、周辺の相場よりも家賃を5千円ほど安く設定しているとのことです。
「訳あり」の理由は、このマンションの屋上から飛び降り自殺をした人がいるというものです。
確かに同じ自殺であっても、その部屋で首を吊ったり、その部屋から飛び降りたりする場合にくらべれば、心理的な抵抗は少ないかも知れません。
しかし、家賃の差がたった5千円ということであれば、普通の人はあえてその物件をさけて、別の物件を探すことになるのではないでしょうか?
病死であっても家賃が1万円以上さがっている物件
こちらは、東京都品川区の築21年の1Kアパートです。
家賃は4万5千円となっており、同じ建物の別室よりも1万円以上安くなっているようです。
この物件は、前の入居者が部屋のなかで病死しています。
病死の場合は「事故物件」にはあたらないとされ、告知の義務もないとされています。
最近では病院で亡くなる人が圧倒的に多くなっていますが、かつての日本では自宅で亡くなる人も多く、往診のお医者さんが臨終を告げるというのが普通でした。
そういったことを考えた場合、入居者がたまたま部屋のなかで病死したからといって、事故物件扱いしてしまうのは、大家さんにとって気の毒だといえそうです。
しかし、この物件に関してはあえて告知をしており、家賃も他の部屋よりも1万円以上安くなっていることから、「ただの病死」ではない可能性もあります。
つまり、病死には違いないけれども、そのあと誰にも気づいてもらえずに、長期間放置されたままになっていた可能性もあります。
そういったケースの場合、遺体が腐敗してしまっていたりすることも多く、事故物件として扱われるのが一般的です。
共用廊下で自殺があった港区マンションの場合
こちらは、部屋ではなく共用廊下で女性の自殺があった物件の事例です。
築16年の1Kで、家賃は7万7千円となっています。
同条件の周辺マンションの家賃相場が10万円弱程度ですから、2万円ほど安いといえるでしょう。
先に紹介した、部屋で首つり自殺があった練馬区の物件の家賃が、やはり相場より2万円弱安くなっていました。
同じ自殺であっても、部屋のなかと共用廊下では心理的な抵抗感は大きく異なります。
そういった意味では、こちらの物件の方がお得感はあるといえるのかも知れません。
しかし、自分の部屋ではなく人目につく共用廊下で自殺をするという状況は、普通ではないと感じます。
他の住民との何らかのトラブルがあったことが原因で、怨恨からあえてそういった場所を選んだ可能性も否定できません。
夜遅く帰ってきたときなど、その廊下を歩くのはかなり勇気がいることでしょう。
告知義務がなくても不動産業者が正直に告知をしている物件
事故物件の場合、事故があったあとに誰か一組でも入居をしたという事実があれば、そのあとに告知義務はないとされています。
悪質な不動産業者などは、自社の社員名義で短期間だけ契約をさせて、禊を済ませようとしたりします。
こういった行為を物件ロンダリングなどと呼んでいます。
そういった悪質な業者がいる一方で、事故があったあとにすでに一組の入居者が住んでいるにもかかわらず「告知事項あり」の物件として扱っている良心的な業者もいます。
東京都羽村市の築24年の3DKマンションですが、ここにはもともと高齢の男性が家賃7万5千円で住んでいました。
その後、その部屋で男性が病死されたため「告知事項あり」物件として扱われることになります。
しばらくして、あるサラリーマンの方が家賃6万4千円で入居しましたが、転勤により退去をすることになりました。
高齢の方が部屋で亡くなったあと、実際に他の入居者が住んでいる物件になりますので、本来であれば告知義務のない物件となります。
しかし、この業者はあえて「告知事項あり」として家賃6万2千円で募集をしています。
このように、同じ「告知事項あり」の物件であっても、不動産業者によってその扱いは大きく変わってくるようです。