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たった100円ポッキリで引越し業務を請け負うという業者があります。
普通に考えると、かなり怪しいと感じるに違いありません。
100円では、作業員の人件費どころかトラックのガソリン代にもなりませんから、常識的に考えればあり得ないことです。
しかし、実際にお客様が支払う料金は100円ポッキリで引っ越しをしてくれる業者が存在することは間違いありません。
はたして、そのカラクリはどうなっているのでしょうか?
移動距離10kmまでの引越しが100円で可能?
100円引越しが売りのある業者のプランを見てみますと、単身や2人暮らしの人の場合、移動距離10kmまでは基本料金の100円でOKということになっています。
当日の作業員は2名で、トラックも2tのショートが用意されるようです。
もし、移動距離が10kmを超えると、25kmごとに5000円の料金が加算されるようです。
つまり、35kmまでは5100円ということになるわけですね。
また、ファミリープランの場合は、移動距離30kmまでが基本料金の100円ポッキリで大丈夫なことになっています。
こちらも当日の作業員の人数は2名ですが、トラックは2tのロングになります。
こちらも、30kmを超える移動距離の場合には、同じく5000円が追加となるようです。
単身や2人暮らしのプランが10kmまで100円なのに対して、荷物が多いはずの家族のプランが30kmまで100円なのは謎ですが、そもそもどのプランも100円で引っ越しできるならば、あえてプランを分ける意味がないように思えます。
いずれにしても、移動距離が10kmとか30km以内で、2tトラックに納まる範囲の荷物の量であれば、本当に100円で引っ越しができることは間違いなさそうです。
100円で引っ越しできる前提となるある条件
実際に100円で引っ越しができることは間違いないようなのですが、実は無条件でOKというわけではありません。
100円で引っ越しを請け負ってもらうためには、ある条件があるのです。
それは、NTTの光インターネットを引越しと同時に申し込むというものです。
おそらく、この引越し業者はNTTと代理店契約をしていて、申込者を1件獲得するごとにロイヤリティが入る仕組みになっているのでしょう。
どれくらいのロイヤリティがNTTから入るのかは分かりませんが、少なくとも100円という実質タダ同然で引っ越しをしても利益が出るだけのキャッシュになることは間違いありません。
よくNTTの代理店が、フレッツ光に加入すると「プレステ4を無料でプレゼント」するキャンペーンをやっていますが、このことからもプレステ4の購入代金以上のお金が、NTTから支払われていることは間違いないでしょう。
いずれにしましても、これからNTTの光インターネットに加入しようと思っていた人にとっては、引っ越し代金が100円で済むわけですから、お得であることは間違いありません。
すでに光インターネットに加入している人は
確かに、たまたまこれから光インターネットに加入しようと思っていた人にとっては、移動距離10kmとか30kmまでの引越しが100円で出来るわけですから、願ってもないサービスといえかも知れません。
しかし、すでにNTTの光インターネットに加入している人の場合はどうなるのでしょうか?
その場合には、通常料金の普通の引越しプランを利用することになりますから、他の引越し業者とくらべてまったくメリットはないということになります。
しかし、光インターネットに加入することが条件であるということを知らないお客様が、100円という金額につられて次々と問い合わせをしてきますので、通常料金のプランもそれなりに獲得できてしまうのでしょう。
お客様側にはまったくメリットはなくても、業者にしてみれば引っ越しを予定している人の情報が手に入るという大きなメリットがあることになります。
すでに光インターネットに加入している人にしてみれば「な~んだ、そういうことか」と落胆はするものの、「普通の引越しプランでもお安くできますよ」などと営業をかけられれば、ついそのまま引っ越しの申し込みをしてしまう人も少なくないでしょう。
まさにそれこそが、この100円引越し業者の狙いなのです。
移動距離が長い場合にはお得感はない
すでに光インターネットに加入している人にはまったくメリットのない100円引越しですが、実はこれから光インターネットに加入する予定の人にとっても、必ずしもお得とは限らないのです。
たとえば、東京から大阪まで引っ越しをした場合を考えてみましょう。
東京から大阪までの距離は、およそ500kmです。
単身の人が100円引っ越しの業者を使った場合、25kmごとに5000円が加算されますから、500kmだと加算される分の料金だけでなんと10万円にもなってしまいます。
ちなみに、普通の引越し業者で単身の人が東京から大阪まで引っ越しをした場合、どれくらいの料金になるのでしょうか?
クロネコヤマトの単身専用のプランを使った場合には、28,000円程度で済んでしまいます。
「単身パック」という商品名で有名な日通のサービスだと、Sプランの場合、24,000円で済んでしまいます。
こういったことを冷静に考えてみますと、仮にこれから光インターネットを申込みする人であったとしても、100円引越しの恩恵を受けられるのはごく近場での引っ越しのみ限られるということになります。
こうしたごく一部の人以外は、普通に一括見積もりサイトなどを利用して業者を探した方が、はるかに安く引っ越しが出来るに違いありません。
景品表示法に触れる可能性があるとの指摘も
ほんの一部の人にしかメリットがないにもかかわらず、あたかも100円で引っ越しが出来るような誤解を与えかねないこのような営業方法に問題はないのでしょうか?
実は「景品表示法」に触れる可能性があるということで、消費者庁がマークをしているようです。
引っ越しを申し込むと同時に光インターネットに加入するだけではなく、その後2年間は解約できないなどの「シバリ」があるのが普通なので、それらのことも含めて包み隠さず明示しなければ「消費者を不当に誘引している」ということになり、同法に触れる可能性があるわけです。
たとえ申し込み時に詳細を説明して納得してもらっていたとしても、あくまでも問題になるのは「表示」です。
契約のときではなく、あくまでも集客のときにそのことをしっかりとホームページなどに具体的に記載していなければならないわけです。
真実を隠蔽して、まずは100円という意外性だけを前面にだして集客をしてしまうという姑息なやり方は、法的に許されないということになります。