引越し業者がクレーンで作業をしなければならないのはどんなとき?

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引っ越しも、容易に荷物の搬出や搬入ができる場所ばかりとは限りません。

玄関が狭くて大きな荷物の搬入が困難であったり、エレベーターのないマンションの高い階に荷物を運ぶ必要があったりするケースもあるでしょう。

また、ピアノなどの重量のあるものを、2階以上の階に人力で上げ下ろしをするというのは大変な苦労を伴うに違いありません。

そういったときに、引越し業者はクレーン車を使って窓から荷物を運び入れることを検討します。

具体的には、どのような場合にクレーン車を使って搬出や搬入をされることになるのでしょうか?

荷物が重いときと大きくてドアから入らないとき

狭い玄関引っ越しのときに、クレーン車を使って家具を窓から搬入や搬出をする必要のあるパターンは、大きく2つに分けられます。

1つは、重量があって階段を使って上げ下ろしをするのが困難であると思われる場合です。

機械と違って人間の体力には限界がありますので、物理的に持ち上げることができないものは運べません。

もう1つは、家具のサイズが大きすぎて、玄関や部屋のドアを通過させることができない場合です。

もともと玄関や部屋のドアというのは、人間が出入りするためのものですから、サイズ的にもそのことを前提に設計されています。

そのため、あきらかに大きな家具などはドアを通過させることができないケースもあるのです。

ドアから入らないのであれば、ベランダ側の窓からクレーン車を使って運び入れるしかありません。

このように、引っ越しにおいては、どうしてもクレーン車を使わざるを得ないような状況がでてくる可能性があるわけです。

大型の家具やピアノなどを2階以上の部屋に搬入搬出

クレーン車とピアノ労働省の通達によると、ひとりの人が運ぶことのできる荷物の重さは、次のように定められています。

「満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う重量は、55kg以下にすること。また、当該男子労働者が、常時、人力のみにより取り扱う場合の重量は、当該労働者の体重のおおむね40%以下となるように努めること」

しかし、力士かプロレスラーでもなければ、1人の男性が55kgの荷物を持ち上げるというのは容易ではないはずです。

体重の40%ということで考えた場合にはだいぶ現実的にはなりますが、それでも体重60kgの男性で24kgということになります。

普通の男性であれば持てない重量ではありませんが、実際に持ってみると24kgというのはかなり重いと感じるはずです。

いずれにしましても、1人の人間が持つことのできる荷物の重さなんて、しょせんはそんなものです。

ところが、ピアノの重量は、アップライトタイプであっても200kg以上あります。

労働省の通達をもとにしますと、体重60kgの男性が9人以上いないと運べないことになります。

しかし、9人もの人間がピアノの周りに群がった状態で階段を上がって行くなどということは、どう考えても不可能です。

そのため、人間の力だけでは物理的に厳しいと思われる重量物を2階以上の部屋にあげる際には、クレーンという機械の力を借りる必要があるわけです。

参考記事:ピアノの引越しをするときの料金の目安と注意すべきこと

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玄関や部屋の入口のドアのサイズが小さいとき

なんとか人間の力で持ち上げることができる家具であっても、サイズが大きいために玄関や部屋のドアを通過させることができないというパターンもあります。

そういった場合にも、クレーンを使って窓から搬入する方法が採用されることになります。

玄関や部屋のドアというのは片開きになっていることがほとんどですので、仮にドアを外したとしてもまったく意味がありません。

ところが、ベランダ側の窓であれば、2枚のサッシで交互に開くようになっているはずですので、サッシをすべて取り外すことによって、大きな開口部を得ることができるわけです。

開口部さえ確保できれば、あとはクレーン車を使うことでダブルベッドなどのかなり大きな家具であっても、容易に搬出や搬入が可能になります。

マンションのエレベーターが狭く大きな家具が運べないとき

マンションのエレベーターマンションの引っ越しでは、エレベーターが使えるかどうかがポイントになります。

高層マンションなどでは、荷物用の大きな専用エレベーターが設置されていることもありますが、一般的なマンションの場合には人間用のエレベーターと荷物用のエレベーターは共用になっていると思います。

共用のエレベーターであっても、ある程度の広さのあるエレベーターであれば問題ないのですが、小さなエレベーターしかない場合には、大きなベッドなどの家具を運ぶことが困難な場合もあります。

そういった場合にも、クレーン車を使ってベランダ側の窓から家具を出し入れする方法がとられたりします。

ただし、マンションのどんな高い階であってもクレーン車で出し入れできるわけではありません。

基本的にはブームと呼ばれるクレーンの支柱が届く範囲までしか上げ下ろしをすることができません。

ユニック車と呼ばれる、トラックに小型のクレーンがついたタイプのものだと、せいぜい3階くらいまでしか上げることができません。

仮にマンションの10階まで荷物をあげようとすれば、50tクレーンが必要になり、費用的にも20万円~30万円ほど余分にかかってしまうことになります。

もし、マンションの10階以上の階に引っ越しを予定していて、エレベーターに入らないサイズの家具がある場合には、20万円~30万円の費用をかけてその家具を運び入れるか、あるいはエレベーターに入るサイズの小さな家具に買い替えるかの二者択一を迫られることになります。

参考記事:マンションの高層階への引っ越しをするときに気をつけるべきこと

クレーンを設置するスペースがあるかどうか

アパート前の道重量があったり家具や玄関から入らなかったりする大きな家具であっても、クレーン車を使えば窓から簡単に出し入れすることが可能です。

しかし、クレーン車を使う大前提として、建物の前にクレーン車を設置するだけのスペースがあるかどうかが問題になります。

クレーン車というのは思った以上に大きいですし、転倒防止のためのアウトリガーを張り出すために、かなりのスペースが必要になります。

一番小さなタイプクレーン車であるユニック車であっても、全幅2.3m、全長8.2mほどあります。

さらに転倒防止のためのアウトリガーを最大に張り出すと、4mほどの幅になりますので、かなりのスペースが必要になります。

マンション10階に窓から荷物を運び入れる必要があって、50tクレーンを使用することになった場合などは、それこそ相当に広いスペースがないとクレーンの設置は不可能です。

ラフタータイプの50tクレーンのサイズは、全幅が3m、全長が12.5mほどになりますので、建物がある程度の広い道路に面しているところでなければ、クレーンの設置はおろか現場まで乗り入れることすらできないということになります。

クレーン車が使えない場合は人力で窓から引き上げます

玄関から運び入れることが困難で、なおかつクレーン車を設置するスペースがないような建物の場合、ベランダ側の窓から手吊りで荷物を出し入れすることになります。

ただし、手吊りの場合には、あくまでも人力にたよることになりますし、ベランダから身を乗り出すような形になりますので、あまり重い家具などを出し入れするのは困難になります。

ピアノなどの重量のあるものを2階以上の階から出し入れする際に、どうしても手吊りでやらざるを得ない場合には、ピアノを分解して軽くしたうえで行うこともあるようです。

もちろん、ピアノというのはデリケートな楽器ですから、素人が勝手に分解するわけには行きませんので専門の業者に依頼をする必要があります。

また、ピアノに限らず、手吊りの作業そのものがそれなりのスキルを必要とする作業ですので、慣れている業者に依頼をしないと家具を破損させてしまう可能性があります。

引越し業者選びの際には注意が必要です。

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