引っ越し業者の料金というのは、基本的には運搬する荷物の量と移動する距離によって決まることになります。
同じ移動距離の引っ越しであれば、荷物が少なければ料金が安くなり、多ければ高くなる傾向にあるわけです。
しかし、引っ越し当日になって引っ越し業者に対して「だいぶ家具を処分して荷物が少なくなったので安くしてよ」などと話しても、まず料金が安くなることはありません。
逆に、当日になって荷物が増えてしまったとしても、それが用意したトラックに載せることのできる範囲であれば、追加料金を取られないこともあります。
当日になって多少荷物が増えたり減ったりしても料金的にあまり変わらない背景には、引越し業者はトラックのサイズで料金を判断することが多いからです。
引越し見積もりを作成した時点でトラックのサイズが決まります
すでに引越し業者と契約を済ませてしまったあと、少しでも料金を下げてもらおうと思って、荷物の量を減らしたりする人がいるようです。
運ぶ荷物の量が少なくなれば、引越し料金が安くなるような気がするからです。
しかし、荷物の量を減らすことによって引越し料金を安くすることができるのは、あくまでも業者に見積もりを出してもらうまでの期間になります。
見積もりを作成してもらってその金額で契約をしてしまうと、ほぼ金額は確定してしまうことになるのです。
引越し業者は、見積もりのために現地を訪問したとき、家財チェックリストに家の中にある荷物を記録していきます。
そして、その家財チェックリストをもとに、当日に必要なトラックのサイズを決めることになります。
引っ越しの料金は、荷物の量と移動距離で決まるといわれますが、厳密にいいますと、トラックのサイズと移動距離で決まることになるわけです。
つまり、あなたの引っ越しをするにあたって、2トントラックで済むのか3トントラックでなければ運ばないのかによっておおよその料金が決まるということです。
引っ越しの業界用語に、「トンイチ」とか「トンニ」といった言葉がありますが、これはトラックのサイズ1トンあたりの相場がどれくらいになるのかを表しています。
「トンイチ」というのは、1トンあたり1万円、「トンニ」というのは1トンあたり2万円が相場ということになります。
相場が「トンイチ」の場合に、2トントラックを使うときの料金の目安は2万円ということになります。
このように引越し業者というのは、料金の判断材料としてトラックのサイズを意識しているわけです。
そのため、契約を済ませてしまったあとに家具などを処分して荷物の量を多少減らしたとしても、当日に訪問するトラックのサイズが同じであれば、料金は変わらない可能性が高いのです。
荷物の量が減っても当日のスタッフの人件費は同じです
引越し業者が見積もりを作成するタイミングというのは、まだ荷造りをする前であることが多いと思います。
実際に、家の中にあるものを引越し先に持って行くべきか処分すべきかを、その時点ではなかなか判断できないことも多いものです。
荷造りをしている途中で、家具や家電などが思っていたよりも痛みがひどいことなどに気がついて、処分をしてしまうことも少なくないでしょう。
そういった場合には、見積もりをした時点にくらべてだいぶ荷物の量が少なくなっていることもあるため、少し安くしてもらいたいという気持ちも分からなくもありません。
「トラックのサイズは変えられないにしても、荷物を積んだりおろしたりする手間は減るわけだから、安くしてくれてもいいのでは?」
そんなふうに思う人もいることでしょう。
しかし、当日になってトラックのサイズが変えられないのと同様に、当日に訪問するスタッフの人数も変えることはできないのです。
確かに、実際に作業をするスタッフの人たちは、荷物の量が減った分だけ楽をすることが出来るかもしれませんが、その日に訪問をするスタッフの人数が同じであれば、会社が負担すべき人件費は変わらないことになるわけです。
当日になって荷物の量が減ってしまったとしても、その日に訪問したスタッフのお給料を減らすわけにはいきませんので、これは仕方のないことなのです。
引っ越し当日に荷物が増えてもトラックに積めれば追加料金はなし?
引越し業者にとっては、当日に手配をしたトラックの車両費と派遣をしたスタッフの人件費が、会社から発生する原価となるわけです。
そのため、当日になって荷物の量が多少増減しても、基本的に料金が変わることはありません。
荷物の量が減ったのに料金が変わらないということになると、損をしてしまったような気になるかも知れません。
しかし、逆に荷物が増えてしまった場合には、お得感を得られることになります。
先ほどもいいましたように、引越し業者としては、当日に手配をしたトラックのサイズとスタッフの人数よって原価が決まることになります。
そのため、かりに当日になって荷物の量が増えてしまったとしても、その用意したトラックに積み込むことができる範囲の量であれば、追加料金を請求しない引越し業者も多いのです。
もし、見積もり作成のときに含まれていなかった家具や家電などが出てきてしまったら、引越し業者に見積もり金額内で運んでくれるようにお願いしてみるといいでしょう。
あえて荷物の量を少なく申告するのはNGです
当日になって多少荷物が増えても、追加料金が発生しないことも多いなどと書きますと、見積もりのときに荷物の量を実際の量よりも少なく申告しておけばいいのではないか、などと考える人がいるかも知れません。
しかし、それはやめておいた方がいいと思います。
なぜなら、当日になってすべての荷物をトラックに積みきれない事態が発生してしまうと、取り返しのつかないことになるからです。
当日やってきたトラックに荷物が積みきれなくなってしまった場合、もう一台のトラックを手配するか、積みきれない荷物を残して出発するかの二者択一を迫られることになります。
実際、繁忙期などで引越し業者が忙しいときには、当日に別のトラックの手配がつくことはまずありませんから、積みきれない荷物を残して出発してしまう可能性が高くなります。
見積もりのときの家財チェックリストに載っている分の荷物だけを運べば、引越し業者は契約違反にはなりませんから、ドライに対応される可能性が高くなります。
閑散期などで引越し業者が忙しくない場合には、もう一台のトラックを手配してくれるかも知れませんが、予定にないトラックをもう一台手配することになるわけですから、高額な追加料金を請求されることを覚悟しなければなりません。
近場で、引越し業者にそのあとの予定が入っていなければ、ピストン輸送ということも考えらえますが、いずれにしても追加料金が発生してしまうことは避けられません。
引っ越し業者の営業マンもプロですから、家財チェックリストをもとに正確にトラックのサイズを計算します。
当日のトラックに想定外の荷物をたくさん積めるほどの余裕はないと考えるべきです。
くれぐれも、見積もりのときに荷物の量を過少申告などしないように気をつけましょう。
どうしても積みきれない荷物が残ってしまった場合は?
引っ越し当日、業者が用意したトラックに荷物を積みきれなくなってしまった場合は、どうすればいいのでしょうか?
賃貸契約が切れるギリギリで引っ越しをするような場合には、部屋に荷物を残したままというわけにはいきません。
なんとかして、すべての荷物を運びださなければならないわけです。
ダンボールなどのあまり大きくない荷物で、なおかつ少量であれば、自分のクルマに積んで運んだり宅配便を手配して転居先に送ったりする方法が考えられます。
また、家具などのサイズ的に大きなもので、自分のクルマや宅配便で運ぶことのできないようなものは、軽トラックチャーター便の赤帽や、クロネコヤマトが提供する「らくらく家財宅急便」などを利用するといいかも知れません。
参考:単身パックよりも格安で引っ越しが可能なクロネコヤマトのらくらく家財宅急便
いずれにしても、引越し業者というのは、当日に荷物が積みきれなくなるのが一番困るので、実際の荷物よりも余裕を持ったサイズのトラックを手配する傾向があります。
それにもかかわらず、トラックに積みきれない荷物が大量に出てきてしまうというのは、見積もりのときにかなりの過少申告があったのではないかと考えられます。
もちろん、引越し業者の判断ミスにより必要なサイズよりも小さなトラックを手配してしまうことがありますが、そういった場合には追加料金なしで積みきれなかった荷物を運んでもらえるはずです。
家財チェックリストに書かれている荷物をすべて積みきれないのは、あきらかに引っ越し業者に責任があるからです。
いずれにしても、引っ越し当日になって無用のトラブルを避けるためにも、自分自身でも引っ越しに必要なトラックのサイズをある程度は頭に入れておいた方がいいかも知れません。
以下のページに、間取り別のトラックのサイズについて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
参考記事:引っ越しに使うトラックの間取り別の大まかなサイズはどれくらい?
処分をする予定のものは見積もり作成のときに引越し業者に伝える
見積もりをしてもらったときよりも、荷物の量が大幅に減ってしまってトラックの荷台がガラガラになってしまうというのは、なんとももったいない話です。
そうならないためには、引越し業者が見積もりに来たときに、処分をする予定の家具や家電など知らせるようにすべきです。
型が古くなってしまったり、デザイン的に新居に合わなかったりするようなものがあれば、事前にピックアップをしておいて、見積もりのときに引越し業者に伝えるようにするといいでしょう。
そうすることで、引越し業者も当日に手配をするトラックのサイズを小さくしたり、スタッフの人数を減らしたりできますので、料金的に安くすることが可能になります。
荷造りをしている途中で処分を決めることになる荷物もあるかも知れませんが、荷物が増えてトラックに積みきれなくなるよりはマシと考えて、多少の荷物が減る分はあきらめましょう。
当日の作業を手伝うから安くするようお願いするのはNG
引っ越しの料金は、トラックのサイズと当日に派遣されたスタッフの人件費でほぼ決まるというのは先ほどお話した通りです。
そのため、当日に「荷物の運搬を手伝うから安くして」などという主張ももちろんNGということになります。
当日に作業員が運ぶ荷物の量が減ったとしても、引っ越し会社がスタッフに支払う人件費は変わらないからです。
それどころか、下手に素人が荷物の運搬を手伝ったりすると、かえって足手まといになることが多いです。
そのため、当日の作業のお手伝いを嫌がる引っ越し業者は少なくないのです。
「お願いだから大人しく見ていてください」というのが、引越し業者の本音だったりします。
つまり、当日に作業のお手伝いをしても、料金が安くなるどころか、引越し業者にとっては大迷惑の可能性があるのです。
