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引っ越しというのは、要するに荷物を移動するだけのことだから、専門の業者にまかせるまでのこともないと考える人もいるでしょう。
専門の引越し業者は高そうだし、地元の運送屋さんに運んでもらった方が安上がりでお得に感じるかも知れません。
たしかに、料金的な面だけを比較した場合はそうかも知れません。
しかし、専門の引越し業者と一般の運送屋さんでは、決定的な違いが1つだけあります。
それは、養生の質です。
養生というのは、家具や建物などを傷つけないように、保護をすることです。
毎日のように家具を運び出したり運び入れたりしている引越し業者は、この養生の重要性を痛いほど知っているのです。
建物の養生を手際よく行うプロの引越し業者
物が壊れないように養生をするというと、一般には運ぶものそのものを保護するイメージになると思います。
しかし、専門の引越し業者がより力を入れるのは、建物への養生なのです。
建物の柱や壁、マンションのエントランス部分の床やエレベーターの乗り降り口といった、運搬中にうっかりと家具などをぶつけてしまう可能性のあるところは、キッチリと養生をするのがプロの引越し業者です。
一般的には、養生シートと呼ばれるものを、専用の養生テープを使って貼り付けていきます。
特にぶつけたときに一番ダメージが大きいのが角なので、柱や壁の角の部分は徹底的に養生をします。
引越し業者が手際よくこれらの養生をしている姿をみると「さすがプロ」といいたくなりますが、専門の引越し業者にとっては別にすごいことでも何でもなく、ごくあたり前のことなのです。
養生をせずに、床や壁などに傷をつけてしまった場合に、強烈なクレームが来ることを彼らは身に染みて分かっているわけです。
見事なのは、階段なども1段ずつしっかりと養生シートを取り付けることです。
階段の角というのは、ある意味では運搬中に一番ぶつけやすい部分ですから、慎重に養生をする必要があるわけです。
それに対して、専門外の運送屋さんはそういった床や壁の養生をまったくしないところが少なくありません。
ひどい業者になると、壁や床の養生どころか、トラックの荷台にすら何も敷かずに、家具をベタ置きしてしまうようなところもあります。
建物だけではなく家財もしっかりと養生をします
もちろん、養生をするのは建物だけではなく、家具なども、毛布や専用の養生材でしっかりと包んだうえで運ぶことになります。
つまり、建物をしっかりと養生して、そして運搬する家財もしっかりと養生をすることで、運搬中に傷をつけたり破損をさせてしまったりする可能性を極力少なくしているわけです。
プロである彼らだからこそ、養生をしないで運んだときの恐ろしさが身に染みて分かっているに違いありません。
また、養生をしないで運搬をすると、家具などをぶつけてしまわないか心配になるために、作業スピードが上がらないことになります。
養生をする手間を省いたことによって、かえって作業の時間がかかってしまう可能性もあるわけです。
その辺の事情も、プロの引越し業者はしっかりと分かっているわけです。
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夏場は作業員の汗対策で養生をすることもあります
夏場の引っ越しでは引越し業者が気を使うのは汗です。
引っ越しの作業というのは重いものを運搬する肉体労働ですから、夏場は大量の汗をかくことになります。
この汗が建物の壁についたり、畳にしたたり落ちたりしてシミになってしまうことがあります。
最悪の場合は、大家さんから畳や壁紙を貼り換えさせられてしまう可能性もあります。
また、引っ越し作業時の汗は、家具や家電の上にもしたたり落ちる可能性があります。
特に桐のタンスに汗がついたりすると、シミになってしまうことがあります。
専門家ではない運送屋さんに依頼をして、高価な家具をシミだらけにされたのではシャレになりません。
引っ越し業者が行う養生には、こうした汗対策もあるわけです。
関連記事:真夏の引っ越しは要注意です~汗まみれの作業員の地獄絵図
引越し業者によるアピールのための養生もあります
プロの引越し業者は、しっかりとした養生をしたうえで作業にとりかかりますが、なかには明らかに過剰ではないのかと思えるケースもあります。
どうやってもぶつけようがないほど広いマンションのエントランスに、目立つように派手な養生をしていることがあります。
この場合は家具の保護が目的というよりも、むしろ引越し業者のアピール色が強い養生ということができます。
そういったところに使われている保護材をよく見てみると、しっかりと引越し業者の名前が入っていたりします。
「私たちはしっかりと養生をして作業をしていますよ」ということを、世間にアピールすると同時に、このマンションの住民がいつか引っ越しをするときには「ぜひうちを使ってね」という思いも込められているわけです。
アピールであれ何であれ、養生をしっかりとしてくれるのであれば問題ないと思うかも知れませんが、その養生のために発生する人件費は、最終的には引っ越しを依頼した人が負担することになります。
つまり、お客様のお金を使って、次のお客様を獲得するためのアピールをしているということになります。
ただし、マンションによってはエントランス部分の養生をしないと、荷物の搬入搬出をさせてくれないところもありますので、すべてがアピールのための養生とは限らないことは頭に入れておく必要があります。
プロは養生テープを使い素人はガムテープを使います
養生をしていくときに必要になるのが、養生材を固定するためのテープですが、プロの引越し業者はガムテープなどといった素人が使うアイテムは使いません。
ガムテープの場合には、粘着力が強すぎるために、いざ剥がすときに家具や建物を傷つけてしまったり、ベタベタにしてしまったりする可能性があるからです。
一般の運送業者に養生を頼むと、ガムテープでベタベタ貼られてしまうこともあるので、注意が必要です。
実際に、家具に貼っていたガムテープを勢いよく剥がしたら、塗装がはがれてしまったなどというトラブルも少なくないのです。
もちろん、建物の壁や柱などをベタベタにしてしまったら、大家さんからクレームが来ます。
それでは、プロの引越し業者は養生のためにガムテープではなく、いったい何を使うのでしょうか?
それは、養生テープと呼ばれているものです。
文字通りそのままの名前なのですが、ガムテープのように粘着力が強くないために、簡単にはがすことができます。
そのため、運搬中に家具の引き出しなどが開いてしまわないようにテープでとめるときにも、この養生テープは重宝することになります。
ただし、1つだけ注意をしなければならないのは、絶対にこの養生テープを使ってダンボールの蓋を止めてはいけないということです。
粘着力が弱いために運搬中にテープがはがれて、ダンボールの底が抜けて中身をぶちまけてしまう可能性が高くなるからです。
ダンボールの蓋を固定するときには、必ずガムテープを使用しなければなりません。
もし建物や家具を壊されたら保険で弁償してもらう?
専門の引越し業者と地元の運送屋さんを比較した場合、決定的に違うのは養生の丁寧さであるということがお分かりいただけたかと思います。
一般の運送業者があまり養生をしないといっても、もし家具や建物を傷つけたときには、保険で弁償してもらうから問題ないと考えている人もいるでしょう。
確かに、白ナンバーのモグリ業者でなければ、どこの運送業者であっても「運送業者貨物賠償責任保険」に入っていますから、何かあったときには基本的に1,000万円までは補償してくれることになっています。
しかし、それはあくまでも建て前であって、業者の本音は「なるべく保険は使いたくない」ということになります。
参考記事:引越し業者は保険に入っていても補償を渋ることがあるのはなぜでしょうか?
なぜなら、保険をつかうことで保険料が大幅に上がってしまうからです。
そのため、家具や建物を破損させてしまっても、なかなか自分たちがやったと認めない業者も少なくないのです。
これは専門の引越し業者であっても同じです。
彼らも、基本的にはなるべく保険は使いたくないと思っています。
だからこそ、彼らはしっかりと養生をすることで、そういったトラブルを未然に防いでいるわけです。
残念ながら専門の引越し業者だから安心とは限りません
専門の引越し業者に対して、地元の運送業者は料金的には魅力的ではあるけれども、養生が未熟なことが多いためにリスクがあるということがお分かりいただけたかと思います。
それならば、専門の引越し業者にお願いすれば100%安全なのかというと、残念ながらそうとは言い切れません。
なぜなら、専門の引越し業者に依頼したにもかかわらず、地元の運送業者が下請けとして荷物を引取りにくることもあり得るからです。
特に、3月などの繁忙期には引越し業者は慢性的にトラックの台数が不足します。
その結果、地元の運送業者を下請けの形で派遣することもあるのです。
しかも、荷物の運び出しをしてくれる作業員は、臨時のアルバイトだったりします。
参考記事:引っ越しの際に大切な家電を壊さないための自衛術~テレビ・プリンター・電子レンジ
このような状況で、プロの養生を期待するのは無理があるといえるでしょう。
さらに最悪なことに、引越し業者としても外部の業者に委託をする関係上、余計な経費が発生することになり、そのしわ寄せが発注者のところに来るわけです。
つまり、引越し見積もりが高くなってしまうのです。
本来であれば安いはずの地元の運送業者がやってきて、料金的には引越し業者が自社で作業を行うよりも高くなってしまうわけです。
なんとも理不尽な状況になってしまうことになります。
また、プロの引越し業者であっても、中小の地元業者の中には、まともな養生をしてくれないところもありますので注意が必要です。
そういった業者に養生をするように指示をすると、追加料金を別途で請求されたりします。
引っ越し業者から見積りをもらうときには、必ず養生費も含まれているかどうか確認をするようにしましょう。
地元運送業者に依頼をして養生だけを自分でやる?
地元の安い運送業者を使う代わりに、養生は自分で行うといった割り切った考え方をする人もいるかも知れません。
しかし、実際にやってみ分かりますが、養生というのは思っているよりも大変です。
プロの業者のように専用の養生材などがありませんから、ダンボールをばらして床に敷いたり壁に貼り付けたりしなければなりません。
そして、荷物をすべて運びだし終えたら、今度はそのダンボールを持って転居先まで移動し、同じように養生をする必要があります。
転居先では養生が終わるまで荷物を運び入れることができませんので、運送業者を待機させてしまう可能性があります。
このように、養生だけを自分でやるというのは、あまり現実的ではありません。