新居に引っ越しの荷物を運び終わって、やれやれと思って照明をつけようと思ったら、照明器具がついていなくて愕然となったという人もいるかも知れません。
賃貸物件のなかには、メインの照明器具は自前で用意をしなければならないところも少なくないようです。
冷蔵庫や電子レンジといった一般の家電であれば、設置されていないことを前提で引っ越し前に用意をしますが、照明器具の場合はうっかりしてしまうことも多いものです。
ここでは、賃貸物件に自分で取り付ける照明器具について、いろいろと考えてみたいと思います。
照明器具のついていない賃貸物件が存在する本当の理由
賃貸物件のなかには、台所やトイレには最初から照明器具が取り付けられているにも関わらず、居間などのメインの部屋には照明器具がないといったようなところも多いようです。
これは、照明器具のデザインにはそれぞれ好みがあるために、あえて入居者に好きなタイプの照明器具を使ってもらうという意図があるとされています。
しかし、考えてみればこれはおかしな話で、デザインの好みの問題ということであれば、壁紙やドア、窓枠窓に関しても同じことがいえるわけです。
むしろ、そういった部屋のデザインに合わせた照明器具をトータルコーディネート的に選んで、最初から取り付けしておくのが自然ではないかと思います。
ですから「個人の好みに合わせて取り付けしてもらう」などと言うのはあくまでも建て前の話であって、大家さんの本音はコストダウンにあるに違いありません。
実際に、照明器具がついていてもついていなくても、家賃にはほぼ影響ありません。
照明器具のついているマンションの方が、ついていないマンションより家賃が高いということはないわけです。
家賃が変わらないのであれば、照明器具を最初に取り付けせずに、入居者に選ばせる形にした方が建築費用を減らすことができますので、大家さんにしてみればお得になるわけです。
照明器具も、一般の家電品と同様に10年も使っていれば壊れてしまいます。
最初から照明器具を設置している物件だと、大家さんにはそれらの交換費用も発生することになります。
つまり、照明器具のついていない物件というのは、「自分のデザインに合わせた照明器具が選べる」という入居者のメリットよりも、「余分な費用をかけなくて済む」という大家さんのメリットの方がはるかに大きいということになります。
引っ越し当日に照明器具がないことに気がつくことも多い
すべての賃貸物件に照明器具がないということでれば、引っ越しのときには他の家電品と同様に必ず準備をすることになります。
ところが、実際には照明器具が最初からついている物件もあるので、話がよけいにややこしくなってしまうわけです。
これまで住んでいた賃貸物件が最初から照明器具がついているタイプのところだったりすると、転居先も同様であると勝手に判断して、事前に用意をしないことも多いでしょう。
転居先に引っ越しの荷物を運び終えてやれやれと思っているときに、「あっ!」と気がついたりするわけです。
その場合、あわてて家電屋さんに照明器具を買いに行くか、あきらめてその日は暗い部屋で過ごすかを選択することになります。
参考記事:引っ越しをする前に転居先で事前にチェックしておくべきこと
トイレや台所の照明器具は最初からついているのが一般的ですので、真っ暗闇ということにはなりませんが、運んだ荷物を夜に整理するといったことはできなくなってしまいます。
こういった悲劇を生まないためにも、内見のときには照明器具がついているかどうかは、しっかりとチェックをすべきです。
間取りや日当たりなどの確認に気を取られてつい忘れがちですが、内見の際には一度は天井に視線を向けるようにしたいものです。
これまで住んでいた部屋にある照明器具の扱いはどうする?
これまで住んでいたアパートやマンションを出るときに、自分で取り付けした照明器具はどのような扱いになるのでしょうか。
賃貸物件には原状回復の義務がありますから、入居後に自分で取り付けをしたものは、退去のときに取り外すというのが基本です。
そのため、台所やトイレなどの最初からついていた照明器具以外は、すべて取りはずす必要があるわけです。
次に入居する物件も同様に照明器具が自腹の物件であれば、取り外した照明器具を引越し業者に運んでもらって、転居先で取り付ければ何の問題もありません。
困るのは、家を新築した場合や、次に入居する賃貸物件には最初から照明器具がついているようなケースです。
こういった場合の選択肢は2つしかありません。
照明器具をそのまま残して取り付けた状態にさせてもらうか、取り外して処分をするかです。
まだ新しい照明器具であれば、残していくことを大家さんが了承してくれることもあります。
大家さんが買取るかたちにするか、残置物として次の入居者の自己責任で使用してもらうかは大家さんが判断することになります。
しかし、他の部屋は照明器具なしで入居者を募集しているのに、その部屋だけ照明器具付きという形にするのは他の入居者からのクレームにつながる可能性もあるため、置いていくことを認めてくれない大家さんも多いようです。
そういった場合には、自分で処分をするしかありません。
エアコンであれば、買取り業者がいたりするので、処分をして現金に変えることも可能です。
しかし、照明器具そのものはそれほど高価ではないものが多いですので、売却というのは難しいかも知れません。
とはいえ、まだ新しい照明器具だったりすると、捨ててしまうというのももったいない話ですので、リサイクルショップなどに持ち込みをしてみるといいでしょう。
リサイクルショップの買取り価格というのは、思った以上に安いのであまり期待はできませんが、誰かが使ってくれるのであれば捨てるよりはましだと考えるようにしましょう。
そもそも照明器具を素人が取り付けできるのか?
照明器具のついていない賃貸物件も多いという話を聞いて、そもそも素人に照明器具の取り付けができるのだろうかと不安になる人もいると思います。
照明器具の取り付けというのは、どうしても電気屋さんの仕事のようなイメージがあるからです。
しかし、照明器具が入居者の持ち込みとなっている賃貸物件の場合には、誰にでも簡単に取り付けができるような工夫がされています。
引掛シーリングと呼ばれる、コンセントのようなものが天井に取り付けられており、そこに照明器具の電源部を差し込んでひねるだけで簡単に取り付けが完了します。
この引掛シーリングは規格が統一されているので、基本的にはどこの家電屋さんで買ってきた照明器具でも取り付けが可能なはずです。
取扱い説明書を見ながらやれば、女性でも問題なく取り付けができると思います。
もちろん、引掛シーリングを利用しないで、直接照明器具に電源ケーブルを接続するような器具もありますが、そういった専門の電気工事士が取り扱うような照明器具が家電屋さんで普通に売られているとは考えにくいので、心配する必要はないと思います。
もし不安であれば、購入するときに「自分でアパートに取り付けするのですが、この照明器具で問題ありませんか?」と家電屋さんに確認をしてみるといいでしょう。
取り付けそのものは簡単ですが、脚立や椅子のうえなどに乗って作業をすることになりますので、バランスを崩して転倒などしないように十分に注意をしたいものです。
