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家に対する考え方は、人それぞれで価値観が大きくことなります。
大きく分けると、自分名義の家を持つべきだという持ち家派と、生涯にわたって賃貸に住むことに決めている賃貸派に分かれます。
「賃貸だといくら家賃を払い続けても自分のものにはならないので損である」という持ち家派の主張と、「同じところに一生住み続けるなんて耐えられない」という賃貸派の主張は、どちらかが正解ということになりません。
それは、人生における価値観が違うというだけの話だからです。
ただ、賃貸派の人が覚えておくべきなのは、年をとればとるほど、賃貸物件は借りにくくなってしまうということです。
なぜなら、高齢者に部屋を貸すということは、大家さんにとっては非常にリスクの高いことだからです。
賃貸派の人は、自分が高齢者になったときに、入居の際に年齢制限にひっかかるリスクがあるということを頭に入れておく必要があります。
世論調査では賃貸派にくらべて持ち家派が圧倒的に多い
内閣府が平成27年11月に発表した「住生活に関する世論調査」によれば、持ち家派が74.9%、賃貸派が16.5%、どちらでもよいという人が7.8%となっています。
つまり、圧倒的に持ち家派の方が多いということになります。
もちろん、この世論調査の持ち家派の人が、すべてマイホームを持っているということではありません。
あくまでもマイホームを所有したいと考えている人の割合になります。
特に年齢が高くなるほど、持ち家派の割合は高くなっていくようです。
やはりある程度の年齢になったときに、終の棲家を持っていないということに対する不安が出てくるのだと思います。
高齢者になると、マンションなどの賃貸物件を契約するときの審査がどんどん通りにくくなってしまうからです。
賃貸物件を契約するときの年齢による入居制限の実態
国土交通省が平成28年に作成した「家賃債務保証の現状」という資料によりますと、大家さんの約6割が高齢者の入居に対して拒否感を抱いているようです。
特に、単身の高齢者の方の入居は厳しく、60歳以上の入居を制限している大家さんが11.9%もいます。
また、高齢者のみの入居は不可としている大家さんが8.9%存在し、生活保護受給者への入居制限をしている大家さんが12.8%もいます。
生活保護を受給していなくても、生計中心者が離職者の世帯は不可としている大家さんが8.7%存在します。
つまり、そういった大家さんが管理をしている賃貸物件には、定年退職をした人は入居できないということになります。
こうしたデータからお分かりの通り、大家さんの多くが高齢者への賃貸に拒否感を持っているのです。
70歳を過ぎると家賃保証会社の審査が通りにくくなります
なんとか大家さんの年齢制限の壁をクリアしたとしても、高齢者には保証人の問題が立ちはだかります。
特に年齢制限を設けていないアパートやマンションであっても、入居の際には保証人をつけることを求められるのが普通です。
自分で保証人を探すことのできる人であれば問題ありませんが、多くの人は「家賃保証会社」を利用することになると思います。
ところが、高齢になると、この家賃保証会社の審査に通りにくくなってしまうのです。
先ほど紹介した国土交通省の「家賃債務保証の現状」によりますと、30代~40代の人の75%ほどは問題なく保証会社の審査を通過します。
それに対して60代になりますと、問題なく保証会社の審査に通る割合は50%ほどになり、70代になりますとわずか23%ほどになってしまいます。
つまり、70代以上の高齢者が、家賃保証会社の審査に通るのは非常に困難になるという現実があるわけです。
もちろん、身内などで保証人になってくれる人を見つけることができれば何も問題ありません。
しかし、最近では実の子どもであっても親の保証人になりたがらない人が増えているようですので、保証人になってくれる人を探すというのは容易ではありません。
なぜ高齢者は賃貸物件の審査に通りにくくなってしまうのか?
高齢者が賃貸物件の審査に通りにくくなる理由はハッキリとしています。
労働者世帯であれば毎月決まった収入がありますから、家賃を滞納される可能性は低いといえます。
しかし、年金しか収入がなく預貯金を取り崩して生活しているような高齢者の場合、預貯金が底をついた時点で、家賃の支払いがストップしてしまう可能性もあるわけです。
また、高齢者の場合、健康面に不安を抱えている人も少なくないため、1人暮らしの高齢者の場合には孤独死してしまう可能性があります。
孤独死をしてもすぐに発見されればいいですが、1人暮らしの高齢者の場合は日頃から誰ともコミュニケーションをとっていない人も多いので、しばらくのあいだ発見されずに放置されてしまうことも少なくありません。
そうなってしまうと、その賃貸物件はいわゆる事故物件扱いとなってしまうために、次の入居者を探すのに非常に困難になります。
大家としてはそういったリスクを取りたくないために、どうしても高齢者へ部屋を貸すことに消極的になってしまうわけです。
関連記事:あなたの引越し先が事故物件の可能性も?~知られざる物件ロンダリングの事実
70歳を過ぎると賃貸物件の審査を通すのは困難
賃貸物件の多くは、会社を定年退職した60歳くらいから審査に通りにくくなる傾向にあります。
安定した収入がなくなってしまうわけですから、ある意味では仕方のないことです。
しかし、ある程度の大きな会社に勤務をしていた人であれば、まとまった退職金があるはずですし、厚生年金もそれなりの額をもらっていたりするでしょう。
そういった方であれば、すぐに家賃が払えなくなるような状況にはなりにくいので、60歳を過ぎていても問題なく賃貸物件の審査に通ることも少なくありません。
ただ、そういったある程度の蓄えがある人であっても、さすがに70歳を超えてから新たに物件を探そうとすると、どうしても審査は厳しくいものになってしまいます。
特に70歳以上で1人暮らしということになれば、賃貸物件の審査を通すのはかなりハードルが高くなります。
70歳を過ぎて一人暮らしだと、どうしても孤独死の問題は避けて通れないからです。
70歳以上の人が賃貸物件の審査に通るためには、家賃を滞納する心配がないことをアピールするだけではなく、近くに親族が住んでいて、小まめなコミュニケーションが取れているという点などをアピールする必要があります。
高齢者向けの賃貸マンションも存在します
高齢になると賃貸物件の契約をするのが困難になるということであれば、賃貸派は高齢者になったらホームレスになるしかないのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
アパートやマンションの中には、年齢によって入居制限をせずに、70歳を過ぎた人であっても入居が可能なところもあるからです。
ただし、そういった賃貸物件の絶対数は少ないですので、条件に合ったところが見つかるまで地道にさがすしかありません。
また、高齢者向けの賃貸マンションというものも存在します。
高齢者向けマンションの場合、居住階は階段の上り下りの必要ない1階となっていることが多く、しかも部屋の中はすべてバリアフリーになっています。
また、万が一のときに病院とスムーズに連絡が取れるようなシステムになっているところもあります。
ただし、部屋を貸す方にはどうしてもリスクがあるため、通常の賃貸物件にくらべて家賃は高めに設定されているところが多いようです。
また、老夫婦だけであればそれほど広い間取りも必要ないので、一般のマンションにくらべると床面積が狭いことが多いようです。
そんな高齢者向けの賃貸物件ですが、多くの場合は夫婦で借りることを想定しているため、一人暮らしの高齢者の場合には契約ができないところも少なくありません。
一人暮らしの高齢者が入居できる物件はあるか?
高齢者向けの物件であっても、夫婦で借りることが条件ということになってしまうと、一人暮らしの高齢者はどうすればいいのでしょうか?
一人暮らしの高齢者であっても、借りられる賃貸物件がまったくないわけではありません。
1つは、都道府県や地区町村などが運営をしている公営の賃貸住宅です。
公営の賃貸住宅であれば、1人暮らしの高齢者であっても問題なく借りられるところが多くなっています。
ただし、こういった公営の賃貸物件は家賃が安いために人気が高く、抽選で入居者を決めることが多いです。
そのため、入居したくても必ずしも入居できるわけではないというところが公営住宅の難点となります。
もう1つ、高齢者であっても入居しやすい物件に、「UR賃貸住宅」があります。
UR賃貸住宅というのは旧公団住宅のことで、独立行政法人都市再生機構が管理をしている住宅になります。
参考:高齢者向けUR賃貸住宅
UR賃貸住宅は、家賃そのものは民間の賃貸物件と変わりませんが、礼金や仲介手数料といった初期費用が不要で、保証人も必要がないので申し込みがしやすくなっています。
しかも、公営の賃貸物件のように入居にあたって必ずしも抽選に勝ち抜く必要はなく、先着順に入居が可能になっている物件が多いのもUR賃貸住宅の1つの特徴です。
最近注目をあびているのがサービス付き高齢者住宅
最近人気を集めている高齢者向けの賃貸住宅に、「サービス付き高齢者住宅」というものがあります。
一般に、「サ高住」などと呼ばれています。
サ高住では、スタッフが入居者の部屋を定期的に訪問してヒヤリングなどを行ったりしますので、孤独死をして放置されてしまうという心配はありません。
サ高住は、高齢者向けの専用住宅ですので、逆に若い人は入居をすることができません。
基本的に60歳以上の人を入居条件としているところが多くなっています。
つまり、一般の賃貸住宅では拒否感を持たれやすい60歳以上の一人暮らしの人を大歓迎してくれるのがサ高住ということになります。
サ高住では個室のほかに共有スペースなどがありますので、たとえ一人暮らしの高齢者であってもさみしい思いをすることはありません。
もちろん、サ高住は1人暮らしの高齢者だけではなく、夫婦で入居することも可能です。
一般の賃貸住宅への入居が難しくなる年代になってきた賃貸派の人は、サ高住への入居を検討してみるといいかも知れません。
持ち家派を卒業して高齢者向けマンションの購入も選択肢の一つ
高齢になって契約してくれる賃貸物件を見つけるのが困難になってしまったら、思い切って持ち家派に転向するという選択肢もあります。
賃貸ではなく、分譲マンションであれば年齢制限などは一切ないからです。
最近では、高齢者向けの分譲マンションも多くなっています。
そういったマンションでは、全室バリアフリーになっていて、トイレにも車椅子に乗ったまま入れるような作りになっているところもあります。
ただし、高齢者向けの分譲マンションを購入して持ち家派に転向するためには、まとまったお金が必要になります。
なぜなら、高齢者の場合には住宅ローンを組むことが難しいからです。
そのため、退職金などを利用して現金一括で支払いをするか、子どもの名義でローンを組んでもらって、子どもにローンの支払い分を家賃代わりに渡すという方法を選択することになると思います。
もちろん、高齢者が絶対に住宅ローンを組めないということではありません。
高齢者といっても70歳未満の人であれば、住宅金融支援機構のフラット35に申し込みが可能です。
ただし、ローンを組むことのできる期間は80歳になるまでですので、70歳でローンを申し込んだ場合には、10年で完済をする計画を立てなければなりません。
10年で完済するとなると、格安の中古物件を探さないと月々の返済額はかなり厳しいものになってしまいます。
新築の高齢者向け分譲マンションを購入することで持ち家派に転向することをねらうのであれば、60歳で会社を定年になったタイミングがベストかも知れません。
もう転勤はありませんし、退職金が入るので頭金もある程度は準備できることでしょう。
そして、60歳でローンを組むことになれば、80歳まで20年ありますから、月々の返済額もだいぶ減らすことが可能になります。
あとは、住宅金融支援機構の審査に通るかどうかだけです。