引越し業者がピストン輸送を選択するときとは?~メリットとデメリットを考える

引越し業者のピストン輸送のイメージ画像
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引越し業者は、ピストン輸送という方法を使って荷物を運搬することがあります。

ピストン輸送というのは、1台のトラックを使って決まった場所を何度も往復しながら、荷物を運ぶ方法になります。

ピストンのように、転居元と転居先を何度も行ったり来たり往復することになるため、そう呼ばれるわけですね。

一台のトラックで一気に運んでしまえば楽なのに、なぜ引越し業者はピストン輸送をすることがあるのでしょうか?

引越し業者が、あえて現場を何度も往復する面倒くさい方法を選択するからには、何らかの理由があるはずです。

ここでは、引越し業者がピストン輸送をする理由やメリット・デメリットなどについて解説してみたいと思います。

引越し業者がピストン輸送を選択するのはどういったとき?

引っ越しの荷物は、大きなトラックで一度に運んでしまった方が、効率がいいということは誰でも想像できると思います。

しかし、引越し業者があえて効率が悪いはずのピストン輸送を提案してくることがあります。

それはいったいどういったときでしょうか?

繁忙期でトラックの手配がつかない

人がいない引越し業者引越し業者というのは、忙しいときと暇なときの仕事の量が極端に異なります。

なぜなら、日本国内においては年度の変わり目である春先に引っ越しをする人が圧倒的に多いからです。

春先は入学のシーズンでもありますし、企業の転勤が多いのも年度の変わり目です。

そのため、引越し業者は3月や4月といった春先は非常に忙しいことになるわけです。

参考記事:引越し業者がみつからない!~3月中旬以降は引越し業者が受付拒否をすることも

そういった時期に、引越し業者は大量のアルバイトを雇って人手不足を解消することになりますが、トラックの台数はそう簡単に増やすことができません。

かといって、繁忙期に合わせてトラックの台数をそろえていたのでは、通年で見た場合には使われない期間の方が多くなってしまい稼働率が下がってしまいます。

そのため、春先などの引っ越し繁忙期には、どうしてもトラックが不足がちになります。

本来であれば、2tトラック2台で一度に運んでしまった方が効率がいい場合でも、あえて1台のトラックでピストン輸送をする必要が出てくるわけです。

荷物の積み下ろしのスペースが狭くため小型トラックで往復

道幅の狭い道路家の前の路地などが狭く、大きなトラックが入って行くことができないときには、小さなトラック複数台に荷物を積んで運ぶということが行われます。

しかし、小さなトラックであっても、複数台を駐車させるだけのスペースがない場合には、引越し業者は1台のトラックでピストン輸送する方法を選択することがあります。

引っ越しのときには、路上にトラックを駐車して荷物の積み下ろしをすることになりますので、狭い路地に何台もトラックを駐車してしまうと、交通渋滞を引き起こしてしまったり、近隣に迷惑をかけてしまったりすることになりかねないからです。

ただし、ある程度距離のある引っ越しの場合には、さすがにピストン輸送は効率が悪いので、複数台のトラックを同時に使用したうえで、1台は近くの空き地などに待機させておいて、交互に乗り入れをするという方法をとることもあるようです。

ピストン輸送が可能になるのは近場の引っ越しのみ

トラックの台数が確保できなかったり、家の前の路地が狭くて大きなトラックや複数のトラックを乗り入れることができなかったりする場合に、ピストン輸送が行われることになります。

しかし、ピストン輸送が可能なのは、同一市内などの近場の引っ越しに限られます。

遠距離の場合には、トラックを移動するための時間的なロスが大きく、あまりにも効率が悪いからです。

片道20分~30分以内程度の近場への引っ越しであれば、何度か往復することになったとしても、それほど大きな時間的損失はないために、ピストン輸送が可能になります。

長距離の場合にはリレー方式のピストン輸送が行われます

荷物の積み替え路地などが狭くてどうしても大きなトラックが入って行けない場合には、距離が近ければピストン輸送が行われますが、遠方への引っ越しの場合にはあまりにも効率が悪すぎるためにピストン輸送を選択することができません。

遠方の場合には、大きなトラックを使って目的地の近くまで運び、そのトラックを空き地などに駐車させておき、そこから小さなトラックに積み替えてリレー方式で運ぶことになります。

小さなトラックは、大きなトラックと荷物を搬出搬入する家の前を、何度も往復しながらピストン輸送することになるわけです。

こういったやり方は、大きなトラックと小さなトラックを2台用意しなければなりませんし、何度も往復することで手間もかかりますから、料金的にもそれなりに割高なものになります。

引っ越しの料金というのは、荷物の量(トラックの大きさ)と移動距離によってある程度の目安的なものは判断できますが、それが絶対ではありません。

道路の幅などによって料金に大きな差が生じることもありますので、必ず現地をみてもらったうえで見積もりを作成してもらう必要があるわけです。

「知人と同じ間取りで距離も同じくらいの引っ越しだったのに、料金が2倍近く高かった!あの業者はボッタクリだ!」

などと言ったように話を耳にすることがありますが、必ずしもその業者がボッタクリであったとは限らないわけです。

引っ越しの費用というのは、まさにケースバイケースということになるのです。

参考記事:長距離の引っ越しは中小よりも大手の業者を使った方が無難であるといえます

ピストン輸送の場合には立会人も何度も往復?

引っ越しの際には、荷物の積み込みのときと荷物をおろすときに立会人が必要になります。

一回で荷物を運んでしまう引っ越しの場合には、すべての荷物を積み込んだのを確認してから、立会人は転居先まで移動をすれば済みます。

しかし、ピストン輸送の場合には、旧居と新居で荷物を積んだりおろしたりを繰り返すわけですから、その立ち会いをすべて一人でやろうとすると大変なことになります。

トラックの往復に合わせて自分も往復しなければならないからです。

引越し業者のトラックに同乗するというのは法的にできませんから、自分もマイカーや自転車などで移動を繰り返す必要があるわけです。

そのためピストン輸送をする場合には、なるべく立会人は旧居と転居先で別々の人がいた方がいいことになります。

もし、業者からの提案でピストン輸送で引っ越しをすることになった場合には、立会人を家族で役割分担したり、知人にお願いをしたりして対策を立てた方がいいと思います。

あえて1台のトラックで往復することのメリット

ピストン輸送ピストン輸送で引っ越しをすることのメリットを考えてみたいと思います。

まず、引越し業者の仕事があまりない閑散期であれば、料金が安くなる可能性があります。

大型のトラックを使ったり複数のトラックで一気に運んだりするのにくらべて、ピストン輸送の場合には小型のトラック1台で済みますし、ドライバーさんを含めたスタッフの人数も少なくて済みます。

引越し業者が暇でそれほど仕事のない時期は、午前中に引越し作業をしたあと、午後の予定が入っていなくてそのままスケジュールが開いてしまうことがあります。

そういったときに、午前から午後にかけてピストン輸送をすることで、引越し業者のトラックやスタッフはフル回転することになりますので、効率が良くなるわけです。

スケジュールが開いてしまったとしてもトラックの維持経費はかかりますし、社員に支払う人件費は発生することになります。

ピストン輸送をすることで、トラックやスタッフがロスなく稼働することができれば、引越し業者としても助かるわけです。

その分、料金的には安くしてもらえる可能性もでてくるわけです。

ピストン輸送をすることによるデメリット

時計とトラックピストン輸送によるデメリットももちろんあります。

先ほども書きましたように、近距離の引っ越しに限定されてしまいますので、利用できる人というのは限られてしまいます。

また、立会人が1人しかいないとかなり大変なことになりますので、できれば立会人は2人以上いた方がいいことになります。

さらに、ピストン輸送の場合、トラックが往復することになりますので、一度に運ぶ方法にくらべてトラックの移動時間がよけいにかかることになります。

そのため、一度に荷物を運んでしまう引っ越しにくらべて、時間的には1.5倍~2倍近くかかってしまうことを覚悟しなくてはなりません。

ピストン輸送で引っ越しをすることになった場合は、こうしたデメリットを頭に入れておくといいでしょう。