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お断り見積もりと呼ばれる、非常に高額な見積もりを引っ越し業者が出してくることがあります。
これは、「あなたの引越し作業は引き受けたくない」という業者からの意思表示と考えていいでしょう。
日本には引越し業者はたくさんありますので、私たちがどの業者を使うかは自由に決められます。
業者を選ぶ権利があるという点に関しては、お客様である自分たちの方が立場的に強いと思いがちですが、必ずしもそうではありません。
私たちに引越し業者を選ぶ権利があるのと同様に、引越し業者にもお客様を選ぶ権利があるわけです。
しかし、引越し業者も客商売である以上、面と向かって仕事の依頼を拒否するのはまれです。
お断りをしたいと思うお客様に対しては「お断り見積もり」という方法で、間接的に受注を避けるようにするわけです。
そもそもお断り見積もりって何?
引越し業者の料金には、あらかじめ決められた定価というものがありません。
荷物の量や家の間取り、移動する距離といったものは個別に異なりますので、そもそも定価表を作成することは困難なのです。
一部の引越し業者は定価に近い時間制の料金体系をとっているところもありますが、そういった業者は少数派といえるでしょう。
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引越し料金に定価というものがない以上、見積もり金額をいくらにするかは業者の裁量によってきまるわけです。
極端にいえば、他の引越し業者が10万円の見積もりを作成したお客様に対して、100万円の見積もりを作成してもいいことになります。
「どうしてもこのお客様の仕事だけは受注したくない」と引越し業者が考えたならば、まず間違っても発注しないであろうと思われるような高い見積もりを作成して提出すればいいことになります。
これがいわゆる「お断り見積もり」と呼ばれるものになります。
「こんな高い見積もりふざけるな」と怒ってみたところで、主導権は向こうにあるわけです。
まずは、なぜ引越し業者が「お断り見積もり」を出してきたのかについて、冷静に考えてみる必要があります。
引越し業者がお断り見積もりを出すお客様とは?
私たちが引越し業者を選ぶ権利があるように、引越し業者にもお客を選ぶ権利がある以上、なんらかの理由があって仕事の依頼を断られることがあるのは仕方のないところです。
それでは、どんなタイプの人が引っ越し業者から「お断り見積もりを」出される可能性が高いのでしょうか?
クレーマー体質の人は要注意です
業者に一番嫌われるのはクレーマー体質の人です。
引越し業者は、見積もり作成のために現地に足を運んだ際に、荷物や家の間取りなどを確認するのはもちろんですが、依頼者がどういった人物かということもチェックしています。
そのときに、明らかにクレーマー体質の人であると思われたら「お断り見積もり」が出てくる可能性が高いといえます。
クレーマー体質の人の仕事をうっかり請けてしまって、あとになってトラブルになるのは面倒なので、出来ればお断りしたいと思うのは当然のことです。
担当者が見積もり作成のための荷物の確認をしている横で「これ高価な家具だから絶対に壊すなよ」とか「作業は必ず午後3時までには終わらせてくれ。終わらなかったら代金払わねぇからな」などと口出しをしてくる人物は、要注意ということでマークされるわけです。
そして、要注意人物であることを社内で共有するために、隠語を使ってお客様を区別する引越し業者も多いのです。
関連記事:引越し業者のお客を区別する隠語について
引っ越し当日までにやるべきことをしないと思われる人
引越し業者に嫌われるのは、態度が横柄な人やクレーマー体質の人ばかりではありません。
うまくコミュニケーションが取れない人や、人間的にだらしないと判断された場合にも「お断り見積もり」が出てくる可能性があります。
引越し業者の基本的なやるべき仕事は、荷造りされた荷物を運び出して、転居先に搬入することです。
荷造りオプションサービスなどを利用する場合は別ですが、一般的には引っ越し当日までに荷造りは確実に終えていなければなりません。
また、冷蔵庫の水抜きなど、当日の作業がスムーズにいくように事前にやっておくべきことはたくさんあります。
もし、引っ越し当日にそういった段取りが終わっていないとなると、業者は予定の時間に荷物の積み込みができなくなってしまいます。
仕方がないので引越し業者のスタッフが荷造りを手伝うことになるわけですが、人員も荷物を運搬するための人数しかそろえていませんから、その後のスケジュールが大幅に狂ってしまうことになります。
そういったことにならないように、引越し業者の営業担当は「この人はしっかりと約束を守る人物かどうか」という点をしっかりと見定めているわけです。
ブラックリストに名前が載ってしまっている人
ブラックリストというと金融業者のイメージがありますが、引越し業者も過去にトラブルのあった人物をピックアップしてブラックリスト化していることがあります。
ただし、金融機関のブラックリストのように、各業者がトラブルのあった人の情報を共有しているわけではありません。
基本的には、自社内でのみ共有していることになります。
たとえば、過去にある業者のA支店でトラブルを起こしたことのある人は、別の地域のB支店に見積りを依頼したときに、フラグが立って「お断り見積もり」を出される可能性があるわけです。
こうしたケースの場合は、まったく別の引越し業者に見積り依頼をすると、普通の金額の見積りが出て来たりします。
引越し業者が忙しくて手が回らないとき
引越し業者というのは、閑散期と繁忙期で仕事の量が大きく違ってきます。
特に3月中旬から4月にかけての繁忙期には、どこの引越し業者にもお断りしたいくらいの仕事が舞い込みます。
見積り金額も、通常の1.5倍などというのはまだいい方で、2倍~3倍の見積りを出してくる引越し業者も普通にあります。
この場合は、依頼をする側に問題があるのではなく、単純に引っ越し業者のトラックやスタッフの数が足りないことから「お断り見積もり」を出さざるを得ないわけです。
引越し業者によっては、お断り見積もりどころか、ある一定の期間の受付を停止してしまうこともあります。
可能であれば、こうした時期を避けて引っ越しをするのが賢明といえそうです。
[fuyouhinn–center]
関連記事:引越し業者が見つからない繁忙期について
部屋の中の様子が通常とは異なるケース・汚部屋・オタク部屋
引越見積もりを作成するときには、基本的に営業マンが訪問して部屋の様子や荷物の量などを確認することになります。
このとき、営業マンが一歩足を踏み入れた途端にドン引きするような部屋があります。
いわゆる「汚部屋」です。
こうした部屋に住んでいる人は、基本的に片付けができない人なので、引っ越し当日までにしっかりと荷造りをすることなど不可能です。
こうした部屋の主の場合、「お断り見積もり」以前に、はっきりとその場でお断りされる可能性が高いです。
もちろん、汚部屋に対応してくれる引越し業者もありますが、当然ながら見積もり金額は相場よりもはるかに高い金額となることを覚悟する必要があります。
汚部屋以外にも、来訪した営業マンに警戒される部屋に、おたく(マニア)系の部屋があります。
こうしたマニアックな方々の部屋の中にあるお宝を、引っ越し作業中にうっかりと壊してしまったり紛失してしまったりすると、あとあと面倒なトラブルに発展する可能性が高くなります。
また、こうしたマニアの方々は神経質な方が多いので、養生や運搬などにも細かく口出しをしてきたりします。
引っ越し業者の営業マンが、「この部屋にはあまりかかわりたくない」と判断したら、必然的に「お断り見積もり」が出て来ることになります。
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関連記事:ゴミ部屋・オタク部屋は引っ越し業者にお断りされる?
お断り見積もりかどうかを判断するには?
「お断り見積もり」といっても、タイトルには普通に「お見積書」としか書かれていませんので、見た目で区別をすることは出来ません。
判断するのは、あくまでもそこに書かれた金額です。
引越し業者は「この金額だったら間違いなく発注はしてこないであろう」と思われる金額を、見積書に記載してくるわけです。
かといって、1人暮らしの人が同一市内に引っ越しをする案件に100万円の見積もりを提示したら、間違いなく「ふざけんなバカヤロウ!」ということになります。
そこで、非常識にならない範囲で、まず発注してこないであろうと思われる微妙な金額の見積もりを作成してくるわけです。
「やっぱり大手の業者は広告費がかかっているから見積もりは高いよな~」
などとのんきなことを言っているあなた。ひょっとしたら引越し業者に嫌われているのかも知れませんよ。
明らかに「お断り見積もり」だと分かるのは、ネットや電話などで概算の金額を聞いておいたにもかかわらず、実際に現地をみたあとで作成された見積もり金額が大きくアップしていたりする場合です。
営業マンは見積もり金額がアップした理由をもっともらしく説明すると思いますが、それを真に受けてはいけません。
ひょっとしたらあなた自身が、引越し業者に嫌われてしまった可能性が十分にあるのです。
向こうはプロですから、見積もり内容に関してはいくらでも素人など誤魔化せるわけです。
いくつもの引越し業者に見積もりをもらってみて、どこの業者も同じような傾向があるとしたら、あなたは間違いなく業者に嫌われていると考えていいでしょう。
つまり、ネットで調べたり電話で聞いたりした金額と、現地を調査したあとに出てきた金額が大幅にかけ離れていたら、残念ながらそれは「お断り見積もり」ということになります。
その場合には、なぜ引越し業者からそのような見積もりが出てきてしまったのかを、胸に手を当ててよく考えてみる必要があります。